※バッテリー放電器キットで使った電池ホルダーについて

2005-12-24

※電池ホルダーの選定

 バッテリ放電器を作るにあたり、使用する電池ホルダーにさんざん悩みました。
今回の用途では「1A」という大きな電流を流すので、電池ホルダーの接触抵抗が問題に
なってきます。
放電抵抗1Ωに対して0.01Ω(10mΩ)の接触抵抗があれば、0.01Vの電圧降下が
生じてしまい、接触抵抗がそのまま電池電圧測定の誤差につながります。
 回路の配線(プリントパターン)に「4端子法」を用いることで、配線経路が持つ抵抗の
影響を少なくすることができます。
放電器の性能は、電池ホルダーの選定にかかってくると言っても良いでしょう。
まず使ってみたのが、どこにでも手に入る電池ホルダー。
樹脂(ポリエチレンだと思う)の外装で、マイナス極がスプリングになっています。
この手の電池ホルダーでは、端子へのハンダ付けにコツが必要です。
加熱する時間が長いと、樹脂が軟化して、端子を固定しているハトメ部分が変形してしまうのです。
ハトメの折り曲げ圧も影響を受けるのでしょう、接触抵抗が大きくなるだけでなく、不安定になっていまいます。
使っている樹脂の材質が違う電池ホルダーもあります。
熱には強くなっていますが、やはりハトメ部分の接触が不安定です。
そこで、ハトメの中心穴にM2のビス(黄銅)を貫通させて締め付けてみました。
実は、この電池ホルダー、プラス極の形状に重大な欠陥がありましてニッ水電池やニッカド電池ではプラス極が接触しないのです。
詳しくは、居酒屋ガレージのトラブル遭遇記録をご覧ください。

プラス電極を接触させるため、プラス側にもM2ビスを通しています。
そんな中、「これはどうだ」と買ってみたのが「タカチ」の電池ホルダー「MP型ピン付電池ホルダー」です。

基板に直付けできるようになっているのです。
(MP-3-1PC、MP-4-1PC)
しかし、バラして構造を見てみると、やはりハトメで圧を加えて接触させてあるだけでした。
電池ボックスで何がダメかというと、ハトメでの固定だけでなく、スプリングの素材そのものに問題があることが分かりました。
4〜5ターンしただけのバネ材(いわゆるピアノ線らしい)です。
この素材そのものの抵抗が大きいのです。

左の写真は電池ボックスのスプリングに「1A」の電流を流して、電圧降下を計っているところです。
(4端子法で計っています)
ドロップした値は「50mV」つまり「0.05V」です。

想定している放電電流1Aでは、スプリングを通るだけでこれだけの電圧降下が生じるのです。
これでは正確な電池電圧の測定ができません。
「居酒屋ガレージ」で紹介しているAVRマイコンを使ったバッテリー放電器では、電池ボックスの+/-電極にM2ビスを通して導通を確保し、+側電極のビス頭を少し多めに出しています。
電池の頭が押されることで、マイナス極のスプリングがほとんど圧縮状態になります。
ループになったコイル部分がそれぞれ接触することで、抵抗を押さえているのです。
このような工夫をしても万全ではありません。
何かよい電池ボックス、マイナス側にスプリングを使っていないのはないかと探してきたのがこれです。

模型屋さんに置いてありました。

(タミヤの楽しい工作シリーズ)

自分で組み立てる電池ボックスで、オン・オフするスイッチも取り付けられます。
単3用と単4用の2種類ありました。
電池を保持している樹脂部分はしっかりしているのですが、+/−電極が2ピース構造になっています。
電池を装着したときの圧力で接触を確保する方式で、もうひとつ安定性に欠けています。
結局、これは使わずじまいです。
どんな電池ボックスで充電器や放電器を作られているのか、トランジスタ技術やwebページを探しますと、アメリカ「KEYSTONE」社のものが使われている記事が見つかります。
(秋月で扱っています)
「KEYSTONE社の電池ホルダー一覧」
そこで選んだのが、この電池クリップです。
単3用と単4用があります。
プラス側電極の位置をうまく決めると、単3と単4とで、プラス極の取り付け穴の一つを共用することができました。
マイナス極は同じ位置です。
実際に放電を行いながら、どのくらいの電圧降下が電池プラス電極と電圧測定入力のあいだで生じているのかを計っている様子です。

電池プラス極との接触抵抗に加えて電池クリップ金属部の抵抗で電圧ドロップが生じます。
「5mV」という値が出ています。
このくらいなら、測定値への大きな影響はありません。

◆関連ホームページ

※放電特性記録機能付きバッテリ放電器組み立てキット
http://homepage3.nifty.com/act-ele/batdchg3/batdchg.htm
放電器組み立てキットの紹介。
 居酒屋ガレージ : 自作ツールの紹介・
PIC16F88を使ったバッテリー放電器の製作
http://www.oct.zaq.ne.jp/i-garage/tool/batdchg3.htm
バッテリー放電器を基板化にするまでの
道のりを紹介しています。
手組回路の様子をどうぞ。
 居酒屋ガレージ : 
「DiMAGE7i」技術資料保存場所・
ニッケル水素電池の放電特性
http://www.oct.zaq.ne.jp/i-garage/dimage/dim_06.htm
ミノルタのデジタルカメラDiMAGE7iで常用している
ニッケル水素電池の放電特性について
あれこれ調べています。
 居酒屋ガレージ : トラブル遭遇記録・
電池ホルダーにちょっと注意
http://www.oct.zaq.ne.jp/i-garage/trbl/bat_hold.htm
電池ホルダーで出会ったトラブル体験を紹介。