※100円ラジオのケースに、PIC12F675を
使ったエレクトリック・キーヤーを組み込む

2004-06-21

▲▼▲▼ 組み立て方法の解説 ▲▼▲▼

・「写真」を見やすくするために大きめの画像を貼り付けています。
 読み出しに時間がかかりますが、ご容赦ください。

・あらかじめ制御プログラムとその説明書をダウンロードして、
 組み立て説明テキストファイルをお読みください。
 ダウンロードは ここ からでもできます。



 「ダイソー」の「100円ラジオ」、このケース中にワンチップマイコン「PIC12F675 」を使ったエレクトリック・キーヤーを組み込みます。
このとき、100円ラジオのケースだけでなく、「ラジオ回路基板」をそのまま使うというのが特徴です。
FMタイプの100円ラジオを使います。

※回路図

 メッセージメモリーを2ch化するため、2つのスイッチが必要です。
当初はメッセージ・キーヤー機能を持っていませんでした。
ダウンロードしたファイルの中に入っている説明文をお読みいただければ、
メッセージキーヤー化するにあたり、あれこれ悩んだ様子がわかってもらえると思います。

※さまざまな100円ラジオ

 さまざまな色の「100円ラジオ」があります。
今回の工作で使用するのは「FM用」です。
AM用では組み立てできませんので間違えないようにしてください。

※100円ラジオの中身

左がFMラジオ、右がAM用。
今回の工作は左側のFMラジオを使います。

まずは、イヤホンジャックとボリューム、トランジスタ以外の
部品を取り外してしまいましょう。
イヤホンジャックはキーイング出力接続用として、
ボリュームはキーイング速度設定用として使います。
オーディオ出力しているNPNトランジスタでキーイング出力します。
外した部品の中には再利用するものや、失ってはならないビスも
ありますので、きちんと保存しておきます。

コイルを固定してある高周波パラフィン(?)は、カッターナイフの刃でこそげばすぐにはがれます。
ラジオICが不要なら、足を切ってはずしてしまいます。

※ケース加工

モニター用圧電ブザー(発振回路内蔵型)は選局ダイアルを取り去った跡に
接着剤で固定します。
リード線を通すための小穴を開けます。
選局ダイアルは、マイナスドライバーなどでこじるとバリコン軸から抜けます。

パドル接続用のステレオ・イヤホンジャックの穴を開けなければなりません。
上下ケース、両方に半丸穴を削ります。
柔らかいプラスチックなので、ヤスリで簡単に加工できます。
基板上へのイヤホンジャックの取り付け位置が決まってから、
現物を使って位置を合わせます。

メッセージの記録再生操作を行うボタンスイッチです。
「フジソク」製のを選びました。
なお、部品キットには工作の楽なスイッチMS-402も添付しています。
ドリルの丸穴だけで取り付けられます。
お好きな方を選んでください。

スイッチの取り付け穴として「角穴」を開けなくてはなりません。
古いハンダごてなどを使って貫通穴を開けます。
スイッチの位置決めはしっかりと。
基板側に寄せすぎないように注意しましょう。

角ヤスリで穴を広げながら、現物のスイッチで位置合わせします。

ケースの表面からスイッチを差し込みます。
ケースの内側から、ホットメルト・ボンドを使って固定しました。

※この写真に写っているケース、AMタイプになっていますが、中身の基板はFMラジオのものです。
 あれやこれやとややこしくなってしまい、気が付けばAMラジオのケースに細工していたのです。

※ラジオ基板加工の手順

ます、パドルをつなぐステレオ・イヤホンジャックの取り付け穴を加工します。
「C19」の穴を使います。
ミニドリルで穴を開けてから、穴を細長く広げます。
いくつかパターンカットするところがあります。
ハンダを盛るところは、レジストを削って銅箔面を出しておきます。

基板外周のパターンは全部GNDにします。
抵抗やコンデンサの足の切りくずなどで、渡り線をハンダします、
電源ライン(Bat+とマイコンVdd)をつなぎます。

基板の部品面はこのようになります。
回路図と見比べながら、部品を埋めていきます。
部品を入れる穴の位置に注意してください。
J2,TR1,VR1は取り外さず付けたままの部品です。

PICマイコンの挿入位置と足の曲げ具合を確かめてください。
元のICは1.778mmピッチです。
そこへ2.54mmピッチのPIC12F675を入れなければなりません。
写真のように足を曲げて(外側は外へ、内側2本は内へとやさしく)実装します。
外側2本を外に、内側2本は内に曲げます。

ハンダ面の様子です。
パターンをカットする場所、接続する部分、ジャンパー線のつなぎ方など
回路図を見て確認しながら作業を進めてください。
橙色のラッピング線を使って信号接続しています。
ラッピング線のハンダ付け、ちょっとコツがあります。
線をむいた後、予備ハンダ(先端をハンダ揚げ)をしておくとつきやすくなります。

※スイッチの配線

先端をストリップして予備ハンダした電線を、基板上面の部品穴から挿入し、
ハンダ面でハンダしています。
基板を裏返したり表に戻したりとちょっとめんどうな作業になります。

電池の接続線は、元から配線されていたのを使いました。
電池電極のところでハンダ付けをやり直すときは、ケースから電極を取り外しましょう。
そのままハンダすると、ケースが溶けてしまいます。

角度を変えてみた配線の様子です。

※完成

灰色のボタン2つでメッセージの記録再生を操作します。

電池を交換するときは、電池を抜いた状態でリセットスイッチ(放電用スイッチ)を1秒ほど押してください。
その後、新しい電池を装着すると、確実にリセット起動します。


メッセージ操作スイッチの違いを写してみました。
左がフジソクの「TM1-01」、右がミヤマの「MS-402」。

クリック感はTM1-01の方が上です。

MS-402は、なんと言っても加工が簡単(5Φキリで穴を開ける)です。
ネジ止めですので、接着材も要りません。

※運用


 ・リセット起動でモニター音「−−・ −− :GM Good Morning」。
 ・パドル操作でモールス出力。
 ・長短点メモリー、スクイーズ動作可能。
 ・スイッチ長押し(およそ1.5秒)で記録開始待ちに。
   モニター音「−・・・−」
 ・パドル操作で記録開始。
 ・メモリーがいっぱいになるか途中でスイッチを押すと記録終了。
  モニター音「・−・−・」
 ・記録開始待ちのまま10秒経過するかスイッチ操作で記録中止。
  モニター音「−・・・ −・− :BK」
 ・スイッチをちょんと短く押すと記録メッセージを再生。
 ・パドル操作で再生中止。
 ・再生中、同じchのスイッチを押すと停止。
 ・異なるchのスイッチなら、新chのメッセージを先頭より再生。
 ・ダブルクリック(短押し2回)で、メッセージのリピート再生。
  パドル操作かスイッチ操作で中断するまで、3秒間隔で256回
  メッセージの再生を繰り返す。
 ・約10秒間操作がないとスリープモード(低消費電流)に。
 ・パドルあるいはスイッチ操作で復帰。

 詳しくはダウンロードした説明書に記しています。

※頒布サービスの部品キットに含まれるパーツ

  品 名   品 番 数量  
圧電ブザー [富士電気化学] EB3105A-30C140-12V 1 BZZ1
セラミックコンデンサ 0.001 (102) 4 C1,C2,C5,C6
積層セラミックコンデンサ 0.1  (104) 1 C4
PICマイコン 8pin DIP PIC12F675-I/P 1 IC1
ステレオジャック [ホシデン] HSJ0857 1 J1
1/8W・5%抵抗  [茶黒赤金] 1K 1 R1
1/8W・5%抵抗  [黄紫橙金] 47K 1 R2
1/8W・5%抵抗  [黄紫赤金] 4.7K 1 R3
1/8W・5%抵抗  [茶黒橙金] 10K 1 R4
押しボタンスイッチ本体  [フジソク]  TM1-01 2 SW1,2
ボタン          [フジソク]  TZ0004 2  
取付枠          [フジソク]  TZ2004 2  
リセット用TAKT SW [オムロン] B3F-1000 1 SW3
小型スライドスイッチ [日開] SS-12SDP2 1 SW4
モノラル・イヤホンプラグ  [マルシン]   MP-105AM 1 (キーイング出力用)
ステレオ・イヤホンプラグ  [マルシン]  MP-019MS 1 (パドル入力用)
小型プッシュSW  [ミヤマ] MS-402 2 (SW1,2代替) 
スイッチ配線用 配線用電線 10cm 6色 
ジャンパー ラッピング線 20cm  

※別途購入品と基板からの流用品

  品 名   品 番 数量  
ダイソー100円ラジオ FMタイプ MODEL DD2001-F 1  
電解コンデンサ 47UF 1 ★ C3
モノラル・イヤホンジャック JACK 1 ★ J2
NPNトランジスタ S9014 1 ★ TR1
ツマミ付ボリューム VR50K 1 ★ VR1
単4電池   2  

これらは部品キットには含まれません。
★マークのパーツは基板から採れるものです。
100円ラジオと電池はご自身で入手してください。

※パーツの頒布サービスは終了しました。(2006-12-07)

※参考回路

 発振回路内蔵の圧電ブザーを使っているため、通常のCW受信音、モールス信号を聞くモニター音よりずいぶん周波数が高くなっています。
発音体の共振周波数に合わせて、音が大きくなるように発振回路の定数が決められているためです。

 もし、これがどうしてもイヤだということでしたら、発信回路内蔵の圧電ブザーをやめて単純な圧電発音体に取り替え、別付けの発振回路を組んで音を鳴らすという方法はいかがでしょうか。
その場合の発振回路例を示します。
「R3」の値を小さくすると音が高くなり、大きくすると低くなります。

 このようにしても、発音体の共振周波数が関係し、高調波成分ばかりが耳についてしまい、低い音と感じないかもしれません。