※トランジスタ技術 2007年3月号
特集:すぐに見つかる!電源回路ハンドブック
『定番DC-DCコンバータICによるLED点灯回路』
補足と参考資料

2007-06-26

トランジスタ技術2007年3月号142ページに掲載されました。

定番DC-DCコンバータIC、MC34063A(ONセミコンダクタ)[あるいはNJM2360A(JRC)]を使って昇圧し、複数のLEDを点灯させます。


以下のような回路です。

 LEDの駆動電圧を安定させるのではなく、LED列に流れる電流を制御します。
ですので、LED単体の順方向電圧を気にせずに点灯電流を決めることができます。

 DC−DCコンバータICのコンパレータ入力(5番ピン)の電圧が1.25V(Vref)となるように電流が制御されます。
つまり電流検出抵抗R1に発生する電圧V1が一定となり、図の100Ωなら12.5mAの電流が流れます。

 昇圧電圧出力V0はLEDの品種により変わります。このとき、LED列1と列2が同じ品種で順方向電圧がそろっているなら、V1=V2になり、R2で電流制限され、列2にも列1とほぼ同じ電流が流れます。
同様の回路でLED列を増やすこともできます。

 LEDに並列に入れてあるツェナーダイオードD2はLED列1が切断した時の保護のためのものです。
LED列1が回路から外れるとR1に電流が流れなくなりますが、電流を流そうと出力電圧を上げる方向に制御が働きます。
LED回路が切断しても異状電圧が発生しないよう、このツェナーダイオードで最大電圧を規制します。使用するLEDの順方向電圧と個数により決めます。


 LED電流調整回路を書き加えたのが図2です。VRを回すとLEDの電流が変わり、輝度が調整できます。
R3とR4でV1を分圧しているので、この中点の電圧が1.25Vとなるように制御されます。
 VRをGND側、つまりV3=0VにすればV1=2.5VとなりLED列1に25mAの電流が流れます。VRを回してV3を1.25Vにすると、V1も1.25Vになり12.5mA。
さらに回してV3=2.5Vまで上げるとV1=0VでLEDが消灯します。
 VRのかわりにV3電圧を加えれば輝度を制御することが可能です。
アナログ制御ですのでチラツキが発生しません。
PWMを使って点灯デューティを変えて輝度を調整した場合、周波数によってはチラツキが発生し気になる場合があります。この回路ではそれがありません。



過日、図書館から「光で遊ぼう!LED電飾&蛍光灯」という本を借りてきました。
  (CQ出版:河西 真史/村本 宜彦/芦田 章/後田 敏 共著)

 この159ページに、トラ技2007年3月号で私が紹介した回路と同等のものが出ていました。
回路の考え方は同じです。

(以下はページのコピー)

しかし、回路のトレースミスでしょうか、C2の位置が間違っています。
このままでは昇圧しません。
C2は、ICの1番ピンではなくスイッチング・ダイオードのカソード側に入れなくてはなりません。


●応用例

2008-02-09

この回路の応用例として「リコーCaplio GX100用接写リングライト」を製作しました。
ブログ:居酒屋ガレージ日記:カメラで紹介しています。
Caplio GX100用LEDリングライトまとめをご覧下さい。