※100円ラジオのケースにPIC16F628Aを
使ったモールス符号受信練習機を組み込む

2006-12-07

※FMラジオの基板をそのまま活かす

 「ダイソー」の「100円ラジオ」、このケース中にワンチップマイコン「PIC16F628A 」を使った、モールス符号受信練習機を組み込みます。
100円ラジオのケースだけでなく、「ラジオ回路基板」をそのまま使うというのが特徴です。
FMタイプの100円ラジオを使い、FMラジオICを抜いた後に、18ピンのPICマイコン16F628Aを少々無理やりですが実装します。
 単4電池2本で動作し、モニター音はイヤホンを鳴らします。
イヤホンジャック横に設けた「Start/Stop」スイッチを押すと、乱数化されたモールス符号が出ます。
練習時間1分〜5分、欧文普通語、欧文暗語、和文が切り替えられます。
数字や記号の有無、文字間・語間スペースの調整、符号送出速度がケース表面に取り付けた3つのスイッチで変更できます。
モールス受信技能向上のための練習教材としてお使いください。
PICマイコンの書き込みデータだけでなく、ソースファイルも含めて公開します。

 改造後のラジオの中身です。
ラジオICが入っていた1.778mmピッチの穴に、2.54mmピッチのPICマイコンを実装します。
ICの足が飛び飛びに入っているのが見えています。

※回路図

 イヤホンジャック、ボリューム、音声出力トランジスタは元のまま使用します。
ボリュームは音量調節に使います。
 練習開始スイッチ:SW1は基板上に、練習内容や速度などの設定変更用スイッチSW2〜SW4はケース上面に穴を開けて取り付けます。
SW5は、電池交換時などマイコンを確実にリセット起動するためのリセットスイッチです。

 操作しないでしばらく放っておいたらオートパワーオフするので、電源スイッチはありません。
どれかのスイッチを操作すると、スリープ状態から再起動します。

※特徴

  モールス符号の受信練習のために電文を乱数で発生させます。
 欧文普通語、和文、欧文暗語の3種類を、1分から5分の時間で聞き取り練習します。

・約800Hzのモニター音でモールス符号を出力します。

・文字は乱数で出し、英文字A〜Z、和文ア〜ンと濁点半濁点長音に加え、数字と
 記号の有無を選択できます。

・1〜5分の練習時間を1分間隔で選択できます。

・文字間と語間を1短点単位で広げることができます。
 最大は9短点です。

・毎分20文字〜150文字の速度が選べます。

・欧文普通語は1〜11文字を1単語として、欧文暗語は5文字ごとにスペースを
 挿入します。
 ただし、普通語といっても乱数で文字を生成しますので、意味のある単語では
 ありません。

・STARTスイッチのオンで練習を開始します。
 スイッチをちょんと短く押したときは、直前と同じ乱数を使って送出文字を生成します。
 先に受信した文字の確認に使います。

・STARTスイッチを長押しすると、新たな乱数を使って文字を作るので、電文は
 前回と異なったパターンになります。

・練習終了後、送出した文字数をモールスで知らせます。
 練習時間の設定から計算すれば、毎分あたりの文字数がわかります。

・和文の濁点・半濁点は、直前の符号をチェックして、「カ〜コ、ハ〜ホ」など濁点や
 半濁点が付く文字か確かめて送出します。

・欧文、和文とも記号の「 ( ) 」は、先に「 ( 」を送出するように制御しています。

・和文の「 ヰ ヱ 」は、記号出力をオンにしたときに送出します。
 ただし、和文の場合、記号出力をオフにしていても『( ) 』以外の記号
 『長音、区切り点、段落、濁点、半濁点』は送出します。

・電源スイッチはありません。
 しばらく操作しないでおくと、オートパワーオフして待機状態になります。
 スイッチ操作で復帰し、待機中はμアンペア以下の消費電流です。

・信号接続はしていませんが、モニター音だけでなく、キーイング・オン/オフ信号も
 出力しています。

・練習中の文字をシリアル出力しています。
 RS-232Cインターフェース回路を付加すれば、パソコンで送出文字をモニターする
 ことができます。

※モニター音のキークリック対策を行いました。

2004-07-03

 HiFiなヘッドホンやイヤホンや使うと、モニター音のキークリックが気になります。
約800Hzのモニター音がキーイングにより断続することで、そのオン・オフのエッジが
パルスとして聞こえるのです。
音がとぎれるオン→オフのとき、余計気になります。
イヤホンによっては、ほとんど気にならない品種もあるのですが、100円ラジオといっしょに
売られているイヤホンは周波数帯域が低域まで延びているのでしょうか、意外と気になります。
急峻なパルス波形をオン・オフしているのが原因です。
モニター音を滑らかに増減させてやることでキークリック対策を行ってみました。

この改造に伴い、一部の部品が変わります。
また、頒布部品も増えました。 (注:現在、部品の頒布は行っておりません)

※キークリック対策した回路図

 付加したTR2と、R4・C7による信号遅延を使って、PWM波の振幅を変化させます。
回路は小さなユニバーサル基板に組み上げます。
 制御プログラムも変更しました。
対策前の回路も使えるようにということで、新しい回路のときは、「SETUP」スイッチを
押しながらリセット起動してください。
「EX EX EX」の起動メッセージに続き「DLY」とモールスが出て、PWM波形遅延出力処理
が働いたことを知らせます。

※制御プログラムと説明書のダウンロード

MOREX01.LZH へのリンク ソースファイルを含む制御プログラムと回路の組み立て、動作説明などを記してします。 
MOREX02.LZH へのリンク キークリック対策したプログラムです。

 マイコンの書き込みデータとソースファイル、それと組み立てに関する資料(回路図や写真)をダウンロードして解凍してください。
テキストファイルはこのページでの解説と重複する部分もありますが、技術的な面での解説はより詳しく記しています。

 マイコンを実装する前にプログラムを書き込んでおかなくてはなりません。
なお、部品キットの頒布サービスでは、マイコンに制御プログラムを書き込んでお送りします。
 キークリック対策前の「MOREX01」で頒布サービスを申し込まれた方は、チップのプログラムをインサーキット書き込みで更新することができます。
インサーキット書き込みする手段(ツール)をお持ちでない場合は、こちらまでメールで相談してください。
    (注:迷惑メール防止のため「◎」を半角@に書き換えてください)

※画像データが大きいので別ページで組み立て方法を説明します。

組み立て方法の解説はこちら
キークリック対策はこちら


(組み立てに関しては、両方ともお読みください)


※運用


 ・電池の装着

  イヤホンをつなぎ、音量を最大にしておきます。
  電池を入れると「EX EX EX」とモールスを出し、起動を知らせます。
  電池を入れ替えたときは、リセットスイッチを押しておいてください。
  音量は適時合わせてください。
  ボリュームに付いているスイッチは機能しません。
  操作しないまま放置しておくと、自動的に低消費電流状態になります。
  スイッチ操作でスリープ状態から目覚め、機能が回復します。

 ・練習開始

  「START」を「長押し」すると、新たな乱数でモールスを出力します。
  時間や文字種別など練習内容は「SETUP」で設定し、初期状態は、
     練習時間     :1分
     字間語間スペース :なし
     文字種別     :欧文普通語
     数字付加     :なし
     記号付加     :なし
     モニター音程   :約800Hz
  となっています。

 ・同一文の出力

  「START」を短く「ちょんと押す」と、直前の乱数を使って送出文字を
  作ります。
  文字種別など練習内容が同じなら前回と同じ電文です。
  速度を変えても同じ文字が出ます。
  答え合わせに使います。

 ・符号送出速度の変更

  練習中、符号が出ている間に「FAST」「SLOW」を押すと
  符号の送出速度が変わります。
  変えた送出速度は、次回の練習にも反映されます。
  練習中でない場合にこのスイッチを押すと「CQ CQ〜」と連続して
  符号が出て、スイッチ操作で送出速度が変わります。
  しばらく放置するとCQ送出が止み、待機状態になります。

 ・開始と終了

  欧文普通語と暗語の場合は「HR HR BT 本文 AR」、和文の場合は
  「HR HR ホレ 本文 ラタ」で開始と終了を知らせます。
  設定した練習時間が経過すると終わりで、次の操作を待ちます。
  終了後、送出文字数を数字モールスで知らせます。
  練習が始まった後「START」を押すと、送出を中断します。

 ・練習内容の設定

  「SETUP」を押して練習内容の設定を行います。
  どの項目を設定するのかと、設定されている内容はモールスで知らせます。
    練習時間     「TIM」「1〜5」
    字間語間スペース 「SPC」「0〜9」
    文字種別     「CHR」 A:欧文普通語 5:欧文暗語 J:和文
    数字付加     「NUM」 N:なし C:あり  (Cはyesの意味)
    記号付加     「MRK」 N:なし C:あり
    モニター音程   「TONE」「CQの連続」
  「SETUP」を続けて押すと、設定項目が順番に変わります。
  「FAST」あるいは「SLOW」の操作で設定内容が変わります。
  しばらく操作せずに放置しておくと待機状態になります。

  ◇練習時間
   1分〜5分、1分間隔で設定できます。

  ◇文字語間スペース
   1単点の長さを単位として文字間(標準3短点)と語間(標準7短点)を
   長くします。最大9短点まで追加して伸ばせます。

  ◇文字種別
   欧文普通語:A〜Zで構成される文字と語間スペースを乱数で組み合わせて
         送出します。単語の長さは最大11文字です。
   欧文暗語 :A〜Zの文字を5文字単位にして乱数で送出します。
   和文   :ア〜ンのカナ文字と濁点、半濁点、長音、区切点、段落を送出
         します。ヰとヱは含みません。ヰヱは記号付加「あり」で
        ()とともに送出するように処理しています。

  ◇数字付加
   本文に0〜9の数字を入れます。最大5文字で、まとめて挿入するように
   しています。数字を入れるタイミングは乱数で決めています。

  ◇記号付加
   欧文の場合は『. , ? - / ( )』7つの符号を本文に挿入します。
   和文では『( )ヰヱ』4つの符号を追加します。
   欧文暗語には記号を入れません。

  ◇モニター音程
   モニター音の周波数を変更できます。
   「CQ」を連続送出するので、「FAST」「SLOW」を操作して適当なところ
   に合わせます。


 

※送出電文のシリアル出力

RB2ポートをシリアル出力として使い、送出電文の文字をシリアル出力しています。
図のような回路を付加すれば、パソコンで受けることができます。
ウィンドウズのアクセサリ、ハイパーターミナルなどを使います。
9600ボー、8ビットデータ、パリティなし、1ストップビットに設定してください。
ただし、例として示したこの回路では、電池運用した場合、Hレベルの電圧が不足して
うまく受信できないかもしれません。
電池ではなく別電源で5Vを供給するか、もう少しきちんとした回路にする必要があります。


※送出電文の例

速度は初期状態のままです。
欧文普通語で、およそ100文字/分になっています。

◎欧文普通語・1分 数字記号なし
HR HR =
AJ NFS HLCSOBEVRTV FLYVYVLPRPO CKDRMMOI GEKSENQQAU LKJ PHEUHIK
KBM AKBBGZJKFFG XXTLNADLM GCSQXWB NQUGFGI DPAYFVQ TOO
+ 102
◎欧文普通語・2分 数字あり、記号なし
HR HR =
VYZN HMOU DIRSR KJALOQPL ZJQ FXYCSYH JZGXIDIQ CGCWGXCVTOZ CI GA
2KLFALDYJ50 2 2AE 89UPZQRPZE DEMCJY GO QQZLAS YE750XBI WHXRP
VNSAS OVYCX CK DAI EUC JXNJQA81YZT CHNPDJRO BQVMW FWO MGWUSG
MG FZZJ LCXEBD HEQKGQUYTHI VHMDW BB
+ 187
◎欧文普通語・3分 数字あり、記号あり
HR HR =
QB, MYF WIFZYEZUAQP ACRJRH KXEHEL226N J707884RXGW BVJ340 97AIXMA
QV 2500 5YASDX DHYSDEP EBBKCE JLHNPECNI XIPRQYGGMW YUXI
G(MCENOVE CTKHEZG TOEF DW 607C ON ZO) ULBIVGLD TGXN GZEL?
WCICEC503M FNP/AEAXR BVUMS? WNC, VTT. MZWTOV(FK CDBRLWTSV
QOGHUK2 3 05AMXCDNI VCM JDRRG) NGZAUT HEII YPWPYE QRUBEYUKHW
BVAO FP M SMON2LJE AK045D-HKB I. PQ
+ 285
◎欧文暗号・1分 数字なし
HR HR =
UVWAS TNREW QBXSC YBWAX LTELP UMPDG QEQXJ HXMTP KTIWD
UUWBG BPXCT GWYZX PLJWY KFDHP UGOSS XNEYG HBFVC ZTBOM
VGEUG EAVEE DWJSD
+ 105
◎欧文暗号・2分 数字あり
HR HR =
GTRGA KOFBZ ROPIG EQXUR EQOWM CEYGN GDNJL 73009 0DNNF
QKIAX HPGWT FIMDV LZHFI OGKRS JICOF H3189 TLUED VHCWR
ALGYM KAQQ4 20IMW YSWHE SZMNX QGKEC SMZLP XVIUG SJYBV
HETNQ WTWAT OADA4 3335X UBEKZ FNJUA BLLEK YIBHD VDXFN
LZVCK OKSLB XHAO2
+ 195
◎和文・1分 数字記号なし
HR HR \
キウベミケコタテヒナギ、 コムセエニレモモケマフトラミレナテクヤレシクミニクム
ツオレヒタワヌロガウトヨソアノヨケムミヒスハーヲントソモリヲロトゼイイユマツー
セリソシーレ
$ 87
◎和文・2分 数字あり、記号なし
HR HR \
トギタミ」 メミエデタリソ」 ノホプフセチロヒヌーワイユテサナビユトヨマルゲユワ
エラフオツリ5262ブイヤノツハムヲイユネセイタ」 ンカヒニネトソケウラユイ
ハムーツヲサユハムル」 ヤメゲタゾイカムオラソピンマシシサヌソルカデマヨ」
ガエヲルエノンスヅニランヲチキ」 エヨモヲチレシハラトヒワシーヨチ、 ヂヒズ
ピラヲヌオクオスンス
$ 172
◎和文・3分 数字、記号あり
HR HR \
マモヨツテカナオエモルヨセユーキホイアラワヨ761ウモイニワヲリユヘム8クイ」
ヲヤスヤワンオモワイナィ」 マホヤミヤクブ(ム)シウムユヤーワア(ニエ)ヤンラモヒ
ホオハモ(マチプヨテベヤ7145)リロルンヌユメ5」 ネンムヒ473チマラコスケィチフ」
847エヒィシィミキノハヅェヒザソクミハクラソネエフエンヨナ95ヌセ」
スイハヘヤチーカヘネヅンーヌレレ3962ラホエゴアマキイサシヤヨクンムウイミ」
ヤプマホフソシスヲレケヤェロヲモナムヘキソローミェシノスィテ3938ナェメワ
ナネ5ワウエス(レ
$ 251

※使用している記号の意味

  = : BT   −・・・−
  + : AR   ・−・−・
  ¥ : ホレ   −・・−−−
  $ : ラタ   ・・・−・
  ィ : ヰ    ・−・・−
  ェ : ヱ    ・−−・・


頒布サービスする部品キットに含まれるパーツ

2004-07-03

※パーツの頒布サービスは終了しました。(2006-12-07)

(キークリック対策により部品の内容を変更しております)

  品 名   品 番 数量   部品番号
PICマイコン  PIC16F628A-I/P 1 IC1
1/8W 5%抵抗  75K 1 R1
1/8W 5%抵抗  33K 1 R2
1/8W 5%抵抗  47K 1 R3
1/8W 5%抵抗  1K 1 R4
1/8W 5%抵抗  10K 1 R5
電解コンデンサ  4.7UF 1 C7
電解コンデンサ  3.3UF 1 (C7代替)
デジトラ(抵抗内蔵NPN-Tr)  RN1202 1 TR2
メカキースイッチ  B3F-1000 1 SW5
メカキースイッチ  B3F-3152 1 SW1
キートップ(黄)  B32-1030 1  
押しボタンスイッチ  TM1-01 3 SW2,SW3,SW4
ボタン(灰)  TZ0004 2  
取付枠(灰)  TZ2004 2  
ボタン(白)  TZ0011 1  
取付枠(白)  TZ2011 1  
押しボタンスイッチ  MS-402 3 SW2,3,4代替え
配線用電線   10cm 6色
ラッピング線   20cm  
セラミックコンデンサ   223 2 ★ C1,C3
セラミックコンデンサ   103 1 ★ C8
セラミックコンデンサ   104 3 ★ C2,C4,C6
電解コンデンサ  100UF 1 ★ C5
イヤホンジャック   1 ★ J1
NPNトランジスタ  S9014 1 ★ TR1
ツマミ付ボリューム  VR50K 1 ★ VR1


※注意

・★印のパーツはラジオ基板からの流用品です。
 基板に付いた状態で、あるいは、取り外した部品を再利用します。
 頒布する部品キットには含まれていません。

・PICマイコン16F628Aは、最新バージョンの制御プログラムを
 書き込んでお届けします。

・入手状況により、押しボタンスイッチの色が部品表のものと異なる
 場合があります。
 


※別途購入品

FMポケットラジオ  DD2001-F 1 (ダイソー)
単4電池   2  
モノラル・イヤホン   1  


※再利用する部品の、元の部品番号

  品  名   部品番号
ボリューム VOL
イヤホンジャック JACK1
トランジスタ Q1
電解コンデンサ 100μF C19
セラミックコンデンサ 103 C8
セラミックコンデンサ 223 C10,C11,C13,C15,C22
セラミックコンデンサ 104 C3,C9,C12,

・これらのコンデンサを全数使用するわけではありません。

※パーツの頒布サービスは終了しました。(2006-12-07)

※100円ラジオの入手について

ご近所に「ダイソー」がないなど、100円ラジオが入手できないという場合、できる限り協力させていただきます。メールでお問い合わせください。

100円ラジオ、残念ながら大阪では絶滅してしまったようです。
近所のダイソーで見かけなくなってしまいました。


※関連ホームページ

 居酒屋ガレージ 
 自作ツールの紹介
いろんな自作ツールを紹介しています。
導通チェッカーなど、100円ラジオのケースを利用して作ったツールもあります。
さまざまな体験談を記していますので参考にしてください。