「大気の海」
息子(JJ3ENT)が買ってきた本です。
SFじゃなくって「サイエンス・ノンフィクション」。
ガブリエル・ウォーカー著「大気の海」。
副題が「なぜ風は吹き、生命が地球に満ちたのか」。
帯には
「私たちは惑星の表面に暮らしているのではない。
大気の海の底で生きているのだ。」
いやぁ、面白い。
空気の重さの測定、ジェット気流、オゾン・ホール、電離層、バン・アレン帯の発見など、
地球を包んでいる大気とその外側に関する科学の歴史が詰まっています。
で、無線ネタになるのですが、電離層のお話しが面白い。
「空の鏡」という章タイトル。
いいですねぇ。電波を反射するので「空の鏡」。
電波が遠くまで届く理由を推理したのがヘビサイドさん。
けど、ノーベル賞の候補者に上がりながら受賞は逃します。
そうとうな奇人だったそうな。
その後、電離層の働きを物理現象として確かめたのがアップルトンさん。
アップルトンさんはノーベル賞をもらいます。
さてここからが初見の知識。
引用開始:
『アップルトンはヘビサイドが発見した層を電気(Electricity)のEを取ってE層と名づけた。
しかしのちに空のもっと高いところにもうひとつの層を発見したため、それをF層と名づけた。
その後、E層の下にもっと薄い層が見つかり、自然にD層と呼ばれるようになった。
アップルトンは次のように述べている。「私がA,B,Cという文字を使わなかったのは
誰かがD層の下に他の層を発見したときのために一つか二つ文字を残しておいたほうが
いいと思ったからだ。しかし結局、見つからなかったのでD層から始まっているように
なってしまった。それは私の間違いだったと認める。」』
電離層の区分が「D,E,F」となっているのはこんな理由なのです。
E層のEが電気のEで、これが最初に見つかった電離層に名づけられたのだと、初めて知りました。
こんな本を読んでいると、小中学校で教えてもらう歴史、社会史じゃなくって科学史を
もっと取り入れて欲しいと思いますよ。
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2008年2月13日 08時54分
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しかし,E スポ すなわち スポラディック E 層の存在と,そのありがたい効果を知ったのは,もちろんハムになってからです。
なぜ E 課は,ここできょう初めて知りました。tnx
ややこしい。
電離層のE層が「ヘビサイド層」に当たるのでしょう。
別の研究者の名を加えて「ケネリー・ヘビサイド層」と
なっている解説も見受けられます。
「八木アンテナ : 八木・宇田アンテナ」もそうですが…
電気のEじゃなく、電界強度の数式記号Eから来たという解説もありますね。
さて、真相は?
店主さまのご案内で私もこの本を読み出しました。
もう何十年も前に読んだ先人たちの伝記に思いを馳せております。
自分の記憶の中に焼き込んだつもりでいた先人たちの業績を随分忘れている事に気付きました。
近年は情報化社会と言われ久しいのですが、情報を操作している人たちが偉くて評価される状況に危惧感を覚えます。
情報や物を制作する人たちこそ、大切にされるべきではないかと・・・。
などと自分勝手な思いをしながら、先人の業績を再確認しています。
今後とも宜しくであります。
楽しませてもらっています。
読んでいる途中に気が付いたのですが、マルコーニの行で「一万ボルトの電流」とする標記があり驚きました。
出版社に原典からの表記なのか翻訳でそうなったのか尋ねています。
電圧と電流の区別くらいして欲しいと言うのが本音です。
ノンフィクションとしているならチト寂しく思いましたので。
それ以外にも似たような記述があったのですが、何処か忘れてしまいました。
原著はどんな文章になっているのでしょう、興味があります。
『君のひとみは10000ボルト』は大丈夫ですよね。
↑
百万ボルトじゃありません。
早川書房に尋ねると原文の直訳だと「メインコンデンサーに一万ボルトまで電圧がかかるよう電流が流れ」となっているようです。
したがって翻訳時にこのようになったものと推測されます。
日本の平均的理科レベルそのものと考えると、実に寂しくなります。 メディアも高圧電流と言う訳の分からない言葉を作って久しいですから・・・。