ニックネーム: 居酒屋ガレージ店主
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2005年07月03日(日)
VS本(本で対決)その2
東成図書館で見つけた「VS本」の第2弾です。
これも離れた場所の別の棚に置いてありまして、普通なら絶対に気が付きません。

まず、写真左側の妹尾河童(せのうかっぱ)さんの「少年H」、上下巻の2冊になっています。
写真右が、山中恒・山中典子さんの「間違いだらけの少年H 銃後生活史の研究と手引き」です。

 東成図書館では、河童さんの本は著者別の棚に置いてあり、山中さんの本は文学史や作家研究の本が並んだ本棚に置いてあるのです。
「少年H」ですが、難しい読みの漢字にはフリガナが付けてあり、小学生でも読めるようになっています。
私の息子が中学生だったころ、PTAの集まりで訪れた中学校の図書室にも置いてありました。
感想文の課題図書にもなっていたような記憶があります。(出版は1997年1月)
 第二次世界大戦・太平洋戦争を体験した少年・河童さんの日記風に仕上げられた本で、いちおうノンフィクションというジャンルに分類できるでしょう。
読みやすく書かれた本です。当時の生活がどんなものだったか、上下で700ページの分量ですが興味深く読み通すことができます。

 それに対して山中さんの本では「少年Hは推理小説か?」とばかりに、少年Hに記されている体験談の誤りを検証するのです。
河童さんとほぼ同じ年代の著者が少年Hを読んで感じた「違和感」を歴史資料から追求していきます。
少年Hに書かれている体験談は「ウソ」「間違いばっかり」「よその本からの引用」「引用本のミスをそのまま使っている」と、フィクションとして語られた部分の謎を完璧に解き明かし、引用本そのものまで明らかにします。

 ということで、読む順番としてまず河童さんの少年Hを一通り読んでから、山中さんの本をじっくりお読みください。
「間違いだらけ…」は1999年5月の出版。「少年H」が出てから2年少しですね。
山中さんの本もページ数が多いです。840ページ。
感情論で重箱の隅をつついているのではなく、きちんとした資料を基にした歴史的事実として語られているので、ページ数が増えるのも当然かと思えます。

「少年H」を読書感想文の課題図書として選ばれた方が居ましたら(出題側の先生、あるいは提出側の生徒)、「間違いだらけの少年H」も読んでいただき、どんな印象を持たれたか感想をお聞きしたいところです。

私見ですが、この対決は山中さんの勝ちかと。

こんな本を置いてくれる図書館、大好きです。がんばれ〜


2005年7月3日 10時53分 | 記事へ | コメント(0) | トラックバック(0) |
| ・本 |
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