導通チェッカーのダイオード
仕事場のほうで頒布している「導通チェッカー組み立てキット」、年度替わりになりますと
「新人の研修に使います」ということで、まとまった数の注文が来ることがあります。
もともとは100円ラジオのケースを使って組み立てるというのが趣旨だったのですが、
100円ラジオが無くなってしまい、プラスチックケースの加工までしなくちゃならないように
なってしまいました。
このケース加工が、ちょっと面倒かと思います。
さて≪この導通チェッカーの回路≫ですが、ときどき、「なんでこんなに複雑なん?」と質問
があるのです。
「導通があればピー」というだけの単純なもののはずなのに…です。
確かにダイオードだけで11個を使っています。
でも、それぞれ、回路の動作に必要なものなのです。
今回はその解説を記しておきます。
回路図と見比べて動作を考えてください。
・D1,D2,D3,D4:入力保護用。 入力に過大な電圧が加わったとき
これらのダイオードで電圧をクリップして内部
回路を保護します。R1とR2でダイオードに流れる
電流が制限され、短時間ならAC100Vが加わっているライン
をタッチしても壊れません。
・D2 :入力開放電圧決定。 このダイオードの順方向電圧で
測定端子間の電圧が決まります。
導通チェックする対象物に加わる電圧の最大値となります。
・D5 :導通あり検出時にC2を放電し、オートパワーオフ時間を延
ばします。
・D6 :電源オンスイッチを押している間、ブザー報知します。
電源が入ったよという合図です。
・D7 :電源オンスイッチを押している間、C2を放電してオート
パワーオフ時間を延長します。
・D8 :電源オンを保持しているIC2-2A出力がLのとき、TR2を
オンして回路に電源を供給します。
・D9 :電源オンスイッチを押している間、TR2をオンして回路
に電源を供給します。
D8,D9を省くと、電源がオンしてコンパレータ回路に電源が
入った直後は回路が安定しないのでIC2ー2A,2Bによる自己
保持回路がリセットされてします。そこでD9でスイッチを
押している間は強制的にTR2をオンしているのです。
・D10 :比較電圧発生。
VR1で決定するコンパレータ比較電圧をこのダイオードの
順方向電圧で安定させています。
・D11 :ヒステリシス発生用。ブザー報知が断続しないための工夫
です。
ブザー報知回路がオンすると、D10に流れる電流を多くして
コンパレータ比較電圧を少し上げます。
導通抵抗値が少し変化しても、ブザー報知が断続しにくくな
り、ブザー報知が安定します。
ということです。
新人研修などで、回路を解説するときにお話ください。
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2008年3月2日 22時13分
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・電子回路工作 |
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