導通チェッカーの検出抵抗値を下げたい
	
		
			| 仕事場で頒布しているマイコン型導通チェッカーに関し、こんな質問 (要望)を頂戴しました。
 
 > 先日マイコン型導通チェッカーキットを購入させて頂きました。
 > 本日早速製作しまして動作確認まで完了いたしました。
 > 有難うございます。
 > コンデンサを搭載した機器等では導通音(無音)は問題ありません
 > でしたが、トランス等の抵抗値が0.5Ω近辺のものですと導通状態
 > となってしまいます。
 > ホロホロブザーですとトランスでも音色が変化するのですが、マイ
 > コン型導通チェッカーでホロホロブザーの様に音色を変化さすこと
 > は出来ますでしょうか?
 > ご教授頂ければと思います。
 > お手数お掛けしますが宜しく御願い致します。
 
 
 まず… 導通チェッカーの電気的仕様。
 測定端子開放電圧:0.5V(DC)、短絡測定電流:0.1mA(DC)です。
 
 そして、標準的には
 短絡〜10Ω  ブザー連続報知 (ピ〜)
 10〜50Ω   ブザー断続報知 (ピピピピピ)
 抵抗値により、断続間隔が変化
 >50Ω    報知停止
 というふうに抵抗値を検出してブザー報知します。
 
 質問は、もっと検出抵抗を小さくしたい、低抵抗を判別でき
 ないかという内容です。
 たしかに松下の「ホロホロブザー」では、10Ω以下になって
 も短絡状態との違いが音の断続でわかります。
 2〜3Ωでも違いがわかるでしょうか。
 そのかわり、ホロホロブザーは電流が大きいのです。
 ピークで50mAほど、平均だと20mAくらいです。
 導通チェッカーの200倍の電流値です。
 導通チェッカーは電子回路用に設計したもので、小さな電流で
 チェックを行っています。
 ですので、動力回路のチェックにはある意味不向きです。
 
 内部の処理ですが、抵抗値の判別は以下のようになっています。
 マイコンのA/Dコンバータ分解能、1ビットあたりおよそ1mVです。
 測定電流が0.1mAですから10Ωの抵抗をつなぐと1mVとなり、
 50Ωの抵抗だと5mV。
 これ以下(10ビット分解能の数値で5)だと導通有りと判断して
 いて非常に微妙な数値なのです。
 
 以上のことを考えて、判別抵抗をもっと小さい値にする方法を
 述べてみます。
 
 (1)検出電流を大きくする。
 抵抗R1、R2そしてR6の値を小さくして測定電流を大きくして
 みる。
 電流を10倍にすれば現在50Ωの判断抵抗が5Ωになる。
 でも、R1とR2の抵抗が小さくなると、過大電圧を与えた時の
 耐性が弱くなる。
 
 (2)IC3の直流増幅回路を試してみる。
 マイコン内蔵A/Dコンバータの最小ビットは約10Ωとなっている。
 アンプを使い検出電圧を増幅すると、導通ありとブザー報知する
 抵抗値を今より小さくできるようになる。
 DC電圧として約10倍に増幅すれば10Ωが1Ωになる。
 しかし、OP-AMPのオフセット電圧や、電源電圧(電池電圧)に
 よる変動、外乱(誘導ハム、ノイズ)など、常用するには「不安定」
 なこともあり、キットでは省かせてもらった。
 「回路を見て原理を理解できる人は実験してみて」ということに
 している。
 
 以上のようなことが考えられます。
 
 
 ※追記:とりあえずの案
 
 検出電流を約3mAにする方法。
 
 
  
 これで、元の1/30の抵抗値を判別できるようになります。
 現在の設定では50Ω以下で断続報知。
 これが約1.7Ωになります。
 10Ω以下での連続報知、これが約0.3Ωに変化。
 
 ※R6のかわりに付加したダイオードで0.6Vほど
 電圧が低下するので、検出電流もその分(0.6mA)
 減って2.4mAくらいになるでしょう。
 また、電池電圧の影響も受けます。
 
 設定項目2の断続報知(モールスでK)の設定を少し
 大きくしておくと良いでしょう。 (初期値=5)
 
 この改造で「100Vに触っても壊れない」という特徴が
 失われます。
 R1が発熱するのです。
 Power = V x V ÷ 抵抗値
 ですんで、許容W数の大きな抵抗が有利。
 24Vなら約0.5Wなので大丈夫です。
 ※回路図には1/4Wと記していますがキットでは1/2Wの
 抵抗を使っています。
 
 
 ※もう一つの案:スイッチで測定電流を切り替える
 
 スイッチ、抵抗、ダイオードを付加し、こんなのはいかがでしょう。
 
 
  
 電子回路用の測定電流0.1mAと、低い抵抗値をチェックできる
 動力回路用2.5mAをスイッチで切り替える方法です。
 
 パネル面に小型のトグルスイッチを取り付け、
 空中配線で抵抗とダイオードを飛ばす、てな具合でしょうか。
 
 
 
 
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		2012年2月11日 21時39分
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