単電源OP-AMPの0V入力付近の挙動を調べる
単電源OP-AMPを「バッファ」として使ったとき、
GND=0V付近の信号入力が出力にどう反映されるか
ちょいと調べてみました。
0V付近のリニアリティといったらいいのか、微小な
直流レベルが出力にどう現れるかという調査です。
パーツボックスから11種の単電源OP-AMPが出てきました。
これに0V〜+んVの「三角波」を入力して出力変化を調べます。
使った回路はこんなの。
「U1」が調べる対象となるOP-AMPで、DUALのものを想定。
これは単電源(+5V)で動作させます。
微小電圧領域(50mVほど)ですんで、入力信号がシビアになる
んで、電圧を下げるアッテネータをR1とR2で構成し、入力を
1/10にしています。
1Vを入力するとOP-AMPには100mVが入ります。
そして、調べるOP-AMPの出力に10倍アンプを付加して入出力を
同じ電圧として観測できるようにしました。
このアンプは両電源で動作させ、ゼロオフセット調整して
います。
VR1とSW1はその調整用。
実際の基板の様子↓
TEXTOOLのZIFソケットを用いて調査対象を付けたり外したり…
調べる方法はこんな具合です。
発振器から出る「DCオフセット付きの三角波」を入力に接続。
最低レベルが「0V」の波形と「-5mV」のときを観測しました。
例えば「NJU7022」(JRCのC-MOS OP-AMP)だとこんな具合。
(クリックで拡大↓)
左側が0V基準、右側が-5mV。
「V字」になったところを注目です。
出力は当然ですが、GNDより下には行きませんので最低電圧は0V。
その挙動を見て下さい。
このNJU7022の場合、正のオフセット電圧が2mVほど現れていて
その分が不感帯になっているような感じです。
11個をしらべるとこうなりました。
(クリックで拡大↓)
・NJU7022、7002:オフセットが+に2mVほど。
その分があるので0V入力でも0Vが出てこない。
-2mV入力付近で0Vとなっている。
-5mVからの上昇を見ると、7002で信号遅れが
出ている。
・TLC27M2、27L2:7022に比べてオフセットは小さい。
27M2ではV字の上昇部で遅れが見え、27L2では
波形が暴れている。
・LM358:オフセットが2mVほどあり、最低出力電圧が約2mV
となっている。
・LMC6042:波形の暴れ大。
・LMC6482:最低出力電圧約8mV。
・AD822:最低出力電圧約5mV。
・AD823:最低出力電圧約30mV。
入力下降時と上昇時で出力の挙動が異なる。
・OP293:6mVほどの不感帯。 上昇時の遅れが気になる。
・LT1013:最低出力電圧16mV。
●まとめ
入力バッファとして利用するには、完全C-MOS構造のアンプが
間違いなさそうです。
でもその場合は大きなオフセット電圧をどうするか。
例えば「2mV」だと基準電圧2.5Vの10ビットA/Dコンバータで
1ビットあたりの誤差につながります。
A/D精度が上がればとうぜん誤差も大。
ある程度は妥協するとしても、0V付近を精度良く見ようとしたとき
に単電源OP-AMPではちょいとチカラ不足かと。
最初から±電源で使うほうが(マイナス側はちょっとだけでいい)
安心でしょうか。
LMC6482あたりがもっとガンバってくれそうな気がしたんですが…
万能なOP-AMPってなかなかありませんわ。
機会があれば、違う単電源OP-AMPも試してみます。
何かリクエストありますか?
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2013年7月20日 11時34分
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こういうデーターはほとんど公開されていないと思うのですごく参考になります。
実は当方でLMC6482使った時も何だかオフセットが大きくてがっかりしてました。
http://radiopench.blog96.fc2.com/blog-entry-393.html
片電源で微小入力電圧、(といっても10ビットのADCで受けて問題にならない程度ですが)の特性の良い石があると便利ですよね。