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2013年08月26日(月)
「食べ物とがん予防」
坪野吉孝著 「食べ物とがん予防」
サブタイトルが「健康情報をどう読むか」。



またまた図書館から借りてきた本です。
2002年の本なのですでに情報としては古いんですが、
現在に通じる話がたくさん載っています。

筆者さんはガンの疫学についての研究者。

ガン予防について『緑茶に胃ガン予防の効果』がある
かどうかを調べてみたら・・・
  「緑茶を一日に五杯以上飲む人も一杯より少ない
    人も、胃ガンになる確率は変わらない」
なんていう結果が出た。

従来、緑茶に含まれるカテキンがガン予防に効果が
あるんじゃないかとされてきました。
でもそれは動物実験での結果だったそうな。
それも大量に対象物を摂取させて…

ところが、実際に「人」を調査してみたら上記の
結果だったと。

この調査方法が「前向きコホート研究」という名称。
「コホート」のスペルは「cohort」。
辞書の訳を見ると「軍隊、軍団」てなっています。

で、著者さんの言いたいことは
  「メディアの情報をうのみにしない」。

   ※今も「鯖缶」騒ぎが続いているようです。

その情報の信頼性を検証する方法が示されています。
 「Yes」なら次のstepの検証に。
 「No」なら「ウソとちゃうん」で終了。

・step1 具体的な研究にもとづいているか?

・step2 研究対象は「人」か?
     (マウスやラットじゃダメよ)

・step3 論文報告か?
     (単に学会での発表なら話半分)

・step4 定評ある医学専門誌に掲載された論文か?

・step5 研究デザインは「無作為割付臨床試験」や
     「前向きコホート研究」か?

・step6 複数の研究で支持されているか?


人の健康がかかわる話となれば、ここまで厳密な検証を
してはじめて「ホントだ」となるわけです。
21世紀になって、1980年代の研究報告が「実は違うぞ」
なんて結果が出ているそうです。
「緑茶」の話もその一つ。

で、健康に関するメディア報道はどうかとまとめられて
います。

 検証step 
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−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
・○×??×× トムヤンクンでガン予防
・○××××× アボガドが肝障害に効く
・○○○○○× 緑茶に胃ガン予防効果無し
・○○??×? 柑橘類に発癌抑制物質が含まれる
・○××××? 卵白がコレステロール上昇を抑制
・○○×××? 鮭やトマトの色素に抗酸化作用
・○××××? ビールに抗ガン効果
・×××××? バナナが体内脂肪を燃やしガン抑制
・○×○○×? ブロッコリーがガン予防
・○○??×? ヨーグルトがピロリ菌抑制

昔にどこかで聞いたことあるような話です。
「バナナ」の話って何? という感じですな。
著者さんの緑茶の研究にしても、追試されて結果が複数
でていないので「×」。
ご自身、「この研究一つで結論が出るわけではない」
と語られています。

この本の第二部として興味深い医学論文が紹介されて
います。
例えば
 ・ガン予防あれこれ
 ・心筋梗塞予防
 ・糖尿病、血糖値
 ・環境ホルモン
 ・携帯電話と脳腫瘍

生の学術論文なんて、めったに見ないわけですが、
概要を分かりやすく解説していただけるとありがたい
ものです。
「現在はこんな研究結果が出ているんだ」っと安心
かと。

「コホート研究」を検索してみるとこんなところが。
国立がん研究センター がん予防・検診研究センター
  この中の
多目的コホート研究(JPHC Study)

興味深い事例が出てきます。



2013年8月26日 16時40分 | 記事へ | コメント(0) | トラックバック(0) |
| ・本 / ・サイエンス |
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