『「がん」になってからの食事と運動』
またまた図書館の本。
米国対ガン協会 著
『「がん」になってからの食事と運動』
サブタイトルが
米国対ガン協会の最新ガイドライン。
たいへんわかりやすく書かれています。
「がん生存者のための栄養と運動のガイドライン」
というのがアメリカでのタイトル。
2012年の夏に出された本で、最新の研究を元に、
過去に出されたガイドライン(2001年版)を修正し
ています。
昔のは食物に栄養の情報が主だったようですが、
この本では適切な「運動」が有用だと強調。
がん生存者に対しては…
・健康的な体重を達成し維持しましょう。
・定期的に運動しましょう。
・野菜、果物、全粒穀物が多い食事パターンにしましょう。
がん予防に関しては…
・生涯を通じて、健康体重を達成し維持しましょう。
・運動しましょう。
・植物性の食物に重点を置いた、健康的な食事を摂りましょう。
・飲酒する場合は、量を制限しましょう。
ガイドラインを要約すれば上のようになります。
本では、これの「どうして」「なぜ」を解説。
(とてもじゃないですが書き切れませんので、詳細は
本を見てもらうことにして…)
気になった箇所を(要約して)示しておきます。
・十分な量のたんぱく質を摂取することは、
がんと共に生きる期間のすべてを通して必須。
・ベジタリアン食は、選択する食物により健康的な
場合もあり非健康的な場合もある。
・動物由来の食物や製品をすべて排除するビーガン
の食事では、特定のビタミンについてはサプリメント
による摂取が必要。
・野菜を加熱するとき、ゆがくより電子レンジで加熱
するほうが水溶性栄養素の生体利用率が維持できる。
・有機農法で育てられた野菜や果物の方が、それ以外の
ものに比べて、がんを予防する可能性がある成分を
多く含むことを示す科学的根拠は無い。
・現時点では、オーガニック食品が、他の農法や製造法
で作られた同様の食品と比較して、がんの発症、再発、
進行の抑制という点で、より有効であることを示す、
人の集団での疫学研究は存在しない。
・フィトケミカル(植物に含まれる生理活性物質)を
サプリメントとして摂取した場合、それが抽出された
元の食材と同等に有益であることを示す科学的根拠
は無い。
・現時点では、サプリメントによってがんの再発リスク
の低下や生存率の改善を示す科学的根拠は存在しない。
・野菜、くだもの、全粒穀物を多く含み、赤肉が少ない
通常の食事よりも、ベジタリアン食を摂取する方が、
「がん再発を抑制する効果が大きくなる」ことを示
した臨床試験は無い。
・しかし、ベジタリアン食は飽和脂肪酸が少なく食物繊維、
ビタミン、フィトケミカルを多く含むので「がん予防の
ための栄養と運動に関する米国対がん協会ガイドライン」
に沿うものだ。
・食事療法は慎重に。有効性、安全性を確認すべし。
・通常の治療(手術、放射線、抗がん剤)を受けずに
食事療法や健康食品に頼ってがんを治そうとしては
いけない。
・独自の理論を提唱する人物の主張を鵜呑みにすると、
通常の治療を受けずに、治癒の機会を失ってしまう
ことがある。
・極端な食事制限を要求する独自の食事療法や高価な
健康食品を購入することは慎重に。
・培養細胞や実験動物での研究結果が人に当てはまるとは
限らない。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
上に挙げたのは私が気になったところをピックアップした
だけで、他にもさまざまなことが書かれています。
その話の一つ一つが科学的な態度なんですよ。
「がん生存者」という訳がすごい。
「Cancer Survivors」というのが元のタイトルなんです。
私の父も母も死因は癌。
逝ったガレージ仲間3人も癌。
はてさて。
|
2013年10月28日 17時18分
|
記事へ |
コメント(1) |
トラックバック(0) |
|
・サイエンス /
・食べもの /
・本 |
トラックバックURL:http://blog.zaq.ne.jp/igarage/trackback/3589/
※ブログ管理者が承認するまで表示されません