ニックネーム: 居酒屋ガレージ店主
★ZAQのBlogari停止のため、あれこれ「データ吸い出し」対策しています。 新規記事はとりあえず停止。 コメント書き込みはまだ有効です。 (JH3DBO 下間憲行)
2014年07月07日(月)
簡易型停電試験回路
●デジタル・スイッチで停電時間を
 設定できる簡易型停電試験回路

 NHK出版の「エレクトロニクスライフ」誌1993年6月号に
掲載された記事(保存していた投稿原稿)から抜粋、追記した。

・製作の目的

 データのバッテリ・バックアップ機能を有するマイコン
搭載システムなどの電源遮断時の挙動を調べるために製作
した。
 バッテリ・バックアップのための電源切り替え回路や
ソフトウェアの処理が,設計者のおもわくどうりきちん
と動作しているのか確認するためのツールである。
 電源投入と停電のタイミングをいろいろ変えて,回路
の動作を調べる。

・特徴

 AC100VをSSR(ソリッド・ステート・リレー)でスイッチ
して,電源ラインをオン/オフする。
この繰り返し周期とオフ時の周期を,デジタル・スイッチで
設定する
AC100Vの半サイクル(60Hzなら120Hz)が単位。
繰り返し周期とオフ時間、それぞれ3桁のスイッチでサイク
ルを設定する。

・停電試験の重要性

 マイコンのリセット回路は非常に重要である。
最近のマイコンでは、その内部に電源電圧検出回路が搭載
されているが、昔々は外付け回路に頼らざるをえなかった。
 マイコンの教本に載っているようなCR遅延とダイオードだ
けのリセット回路では,リセットにまつわるトラブルが発
生する。
 電源スイッチの入り切りを短い時間間隔で繰り返すと,
初期化に失敗し、動作がおかしくなってしまうという現象
が現れる。
また、マイコンを使っていなくても,電源投入時の初期化
が必要な回路では、リセット回路は要注意である。
 データのバッテリ・バッックアップなど積極的に停電を
検出して,それなりの処理をしなければならない場合,電
圧検出とリセット回路はより重要である。
 停電の直前まで行っていた仕事の内容を覚えておいて,
電源の回復とともに実行途中の状態を復旧しなければなら
ないような場合、確実な停電検出と電源回復時の処理が求
められる。
 停電が発生したことをどの時点でマイコンに伝えるのか,
まずこれを考えなくてはならない。
 マイコン・チップに電力を供給している電源ライン
(通常は5V)の電圧低下を調べるだけで良いのか,それと
も交流電源(AC100V)の入力までさかのぼって,電力が来
なくなったことを検出するのか,システム全体としての構
成により最適なものを選ばなくてはならない。
 回路の消費電流が大きい場合,停電を検出したあと電源
ラインが落ちるまでどのくらいの時間的余裕があるのか,
ソフトウェアの処理も絡めて動作テストをしなくてはなら
ない。
 電源電圧が低下しても異常な出力が発生しないか,ハー
ドウェアの面でのチェックも必要。
電子回路を構成する素子そのものが正常に働かないような
電圧域まで落ちても,最終的な安全を確保しておかなけれ
ばならない。
もちろん電源ダウン時だけでなく,電源投入時の挙動を調
べることも重要である。

・回路構成

 穴あきユニバーサル基板に組んだ。
デジタル・スイッチや電源の出入りには,コネクタを使わ
ず電線を直接ハンダ付けしている。

・電源

 オン/オフを繰り返すタイミングの基準は,商用電源の
周波数である。
AC100Vをトランスで受けた後,ブリッジダイオードで両波
整流して120Hzるいは100Hzの脈流にする。
これを波形整形してクロックパルスを作る。
このクロックをCMOSのプリセッタブル・カウンタICで計数
し,オン・オフのタイミングを作り出す。
 ブリッジ・ダイオードの後,もうひとつダイオードを通
して整流・平滑し,回路を動作させる電源を作る。
この電源(約12V)を三端子レギュレータで5Vに安定化して
ロジック回路に供給する。

※使っているICはすべて4000番シリーズのCMOS ICである。
 使用可能な最高電圧に余裕があるので,この5Vレギュレータを外
してしまって12Vの非安定化電源で使っても問題ない。

・カウンタ

 使ったカウンタICは,BCD/バイナリ切り替え可能なアップ
ダウン・カウンタ,4029B。
周期の設定を3桁の10進表示デジタル・スイッチで行うで,こ
のICをBCDモードで使う。
設定値をカウンタにプリセットし,電源周波数から作った
クロックパルスでダウンカウントする。
カウンタはサイクル・タイム設定用のものとオフ・タイム設
定用のものを二組用意する。
 カウント・ゼロになると,カウンタそれぞれのキャリー出
力がLになる。
これを3入力のNOR(図では負論理入力のANDゲートで表記)
でゲートして正論理のパルスを作る。
サイクル・タイム設定用カウンタ側からのパルスを使って,
デジタル・スイッチの設定値をカウンタにプリセットする。
サイクル・タイム設定用のカウンタは,この周期でカウント
ダウンを繰り返す。
オフ・タイム設定用のカウンタも同時にプリセットするので,
両者のカウント開始タイミングは同じになる。

 本回路では,デジタル・スイッチの設定を
「サイクル・タイム > オフ・タイム」として用いる。
 オフ・タイム用カウンタの方から先に,ゲートしたキャリー
が出てくる。
この信号をRSフリップフロップ(図中央の4001)で受けて,
出力をオン/オフ制御する。
カウンタをプリセットするタイミング(回路図中Aの信号)
でRSフリップフロップをクリアし,オフ・タイム設定用カウ
ンタからのキャリー(回路図中Bの信号)でセットする。
これで,電源周波数の2倍に同期したオン/オフ信号が発生
する。

・SSR

 制御用リレーと同形状の市販品を用いた。
リレー用ソケットに挿し込めるようになっているので、便利
である。

・強制ONスイッチ

 スイッチをオンするとSSR出力をオンにするだけでなく
カウンタを強制的にプリセットする。
これで、スイッチをオフにしたタイミングに合わせて
停電試験が始まる。


・その後の改造
  波形観測トリガ出力用端子
  リレー接点出力
    SSRだけじゃなく、リレー接点でも出力できるよう
    小形リレーを設置。
    トグルスイッチでリレーの使用、未使用を切替
  カウンタのクロック・パルス分周器
    クロックをバイナリ・カウンタで1/128して、
    長周期でオン/オフできるように


※資料

・回路図(クリックで拡大↓)



※「4029」カウンタICの使用例といった位置づけか。
  4029の特徴
 ・↑エッジをカウント
 ・up/down、BCD/binary カウント機能選択
 ・リセット入力は無い
 ・非同期プリセット
 ・CARRY出力は入力クロックとゲートされているので
  グリッチは出ない。

・外観と基板










 ※手抜きしてコネクタを使わずにデジタル・スイッチを
  配線。


●波形

・1サイクル抜け(クリックで拡大↓)


・2サイクル抜け(クリックで拡大↓)


・白熱電球のラッシュカレント(クリックで拡大↓)

カレント・トランスで検出





2014年7月7日 15時14分 | 記事へ | コメント(3) | トラックバック(0) |
| ・電子回路工作 |
トラックバックURL:http://blog.zaq.ne.jp/igarage/trackback/3830/
※ブログ管理者が承認するまで表示されません
おお、2SC945の時代だったと、本筋でないところに感動しています。
2014年07月07日(月) 16:49 by kitamuramasa
旧版の東芝マーク
松下電子(?)の△マーク
昔はそこいらじゅうにあったのに

前の米でテキトーなことを書いてしまいました
4029Bはディスコンではなくバリバリの現行品でした(^^;
4000シリーズは永久に不滅?
2014年07月07日(月) 21:19 by 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO)
回路図は当時のもの。
写真と波形は、今日、あらためて記録しました。

コメントを記入  
お名前(必須)
 
パスワード:
 
メール:
 
URL:
 
非公開:  クッキーに保存: 
※非公開にチェックを入れると、管理者のみにコメントが届きます。
ブログの画面には表示されません。
captcha


※画像に表示されている文字を入力してください(半角・大文字/小文字の区別なし)。
文字が読みづらい場合はこちらをクリックしてください。
小文字 太字 斜体 下線 取り消し線 左寄せ 中央揃え 右寄せ テキストカラー リンク