エレベータ事故
報道されたエレベータの事故、不安ですね。
故障すれば人身事故や火災の発生につながるような装置の設計、
気を使います。
昔々の話です。
とあるメカを動かす装置でした。
電源を切ったり、あるいは突然の停電で動力が切れたとき、
とにもかくにもメカの現在位置を保持して安全を確保する
という仕掛けがありました。
メカを動かす可動軸に電磁クラッチを入れ、通電していな
いときは軸を固定するという方法です。
未通電状態では可動軸にブレーキがかかるわけです。
動かしたいときだけ電磁クラッチを通電して軸を解放。
その状態でモータを制御して、メカを動かします。
位置が定まったらモータ停止ととも電磁クラッチをオフして
ブレーキ状態にして安全を確保というわけです。
こんな装置で、怖い思いをしたことがあります。
装置のある軸だけ、制御盤から電磁クラッチまでの配線長が
長くなっていました。
運転時にクラッチを通電したとき、配線長のために電圧
低下が起こり、クラッチが十分解放されないまま運転が
続けられたのです。
自動車の「半クラ」と同じです。
モータの力が勝って、見た目は正常に運転は続けられて
いました。
そのうちクラッチがどんどん発熱し、ブレーキ特性が悪くな
ります。
運転中はモータの制動力(サーボによるトルク制御)が効いてい
るので大丈夫だったのですが、運転試験を終わり装置の電源を
切った瞬間です。
本来ならブレーキの力で停止位置のまま止まるはずなのですが、
発熱によりブレーキ力が低下していたため、この軸に関係する
メカ部分だけ重力に負けて下がってきたのです。
「逃げろ〜」です。
幸い、ゆっくりした動きでしたし装置の周辺が広かったことも
あり大事には至りませんでした。
メカも無事。
きっと制御を再開すれば、モータ通電により現在位置の保持は
できていたのでしょうが、突然おこった異常現象には誰も
(メカ屋も電気屋も)対処できません。
配線長による電圧ドロップが原因というのは、後で調べて
分かった話です。
短時間の運転では、クラッチの発熱もひどくなく症状は出ません。
ちょっと怖い現場での思い出です。
※「shirouさん」とこにトラックバック。
※2006-06-09
朝刊に「ブレーキが劣化」なんて書かれていますね。
モータ動力停止でブレーキ保持ができなかったのでしょうか?
だとしたら、上に書いた体験談に似た話です。
さて、真の原因は??
私のこの体験談、試運転しているときに電磁クラッチを手で触れれば、
発熱していたのがすぐ発見できていたはずです。
軸が回って運転しているときは異音もしていたことでしょうし、臭いもあったかも。
でも、油圧ポンプやエアの音がしたりと、回りの騒音があるので音ではむつかしいかもしれません。
運転しだすと近寄れないし。
機械の異常を見つけるのに、ふだんと違う音とか振動、発熱は重要です。
電気でも、あれっと思ったら、まず指先でデバイスを触りますから。
火傷することも・・・
どこが悪いかと、基板上の部品を鼻でクンクン。
※2006-06-10
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2006年6月7日 11時39分
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世界的には有名なのですね。
事故の原因、いったいなんなのでしょうね。
いろいろ複合しているのかな。
原因がはっきりするまで、ちょっと怖いです。
http://www.system-brain.com/cgi-bin/wmbp/wingmulti2.cgi?bbsname=kaigi&mode=res&no=16138&oyano=16138&line=0
「シンドラーエレベータ」はわたしも今回初めて名前をしりましたが、日本法人は元「日本エレベータ工業」ですから名門(というか古手)ですね。
ただ「輸入している」とのことなので、製造はしていない、設計もしていないのだとすると、単に組み立て設置だけをしているということかもしれません。
正直な話が「扉が取れた」とかなると「そりゃ機械としてインチキだろう」であって、保守で何とかなる種類の話じゃないと思います。
酔うぞ拝
旧の日本エレベータのかごは、昔OAシステムプラザが入居
していた山田ビル?だったっけ??がそうだったような。
操作部に付いていた怪しい?トグルスイッチが不気味でした。