やっぱPWR(!?)
中尾 政之著「続々失敗百選」。
サブタイトルが
「違和感」を拾えば重大事故は防げる 原発事故と
"まさか"の失敗学
当然「福島原発事故」の話もあるんですが、
東電のBWR:沸騰水型炉と関電のPWR:加圧水型炉
を比較して、事故が起こった時の経過を推測して
います。
このページから、著者の言葉を拾ってみます。
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もし,福島第一原発がPWRであったならば,事故は
軽減されただろうか.
:
条件 としては,事故時と同様に,外部電源・非常
用ディーゼル発電機・配電盤は喪失し続 けるが,
地震によって機器や配管が損傷しなかった. と
仮定する. すなわち,電源喪 失(SBO, Station
Black Out)は生じたが,冷却材喪失(LOCA, Loss
Of Coolant Accident) は生じなかった,と仮定する.
:
※以下、かいつまんで
・BWRでは放射能を含んだ蒸気のベントで大騒ぎした
が,PWRは放射能を含まない蒸気(2次系)だから
自由にベントできる.
・1次冷却水は循環ポンプが停止しても,そのポンプ
のブレードの隙間から自然循環を続けて蒸気発生
器で抜熱される.途中にバルブがないから,福島
第一原発の1号機のように,バッテリの喪失でバ
ルブが閉まり,流路が塞がることもない.
・PWRでは,蒸気発生器の2次冷却水には,もともと
圧力がかからないから,最初から減圧作業が不要
である.
・仮に燃料棒が溶けて水素が漏洩しても,PWRの格
納容器は大きく,水素が全量漏れても,爆発下限
界濃度に達しないので爆発が起きない.
・格納容器はBWRのように窒素充損されていないから
作業者が中に入って,逃がし安全弁(SRV, Safety
Relief Valve)もハンドルを使って手動で開くこ
とができる.
・すなわち,福島第一原発がPWRであれば,レベル7
まで悪化することはなかったと筆者は思う.
・以前,ある委員会で筆者が,PWR だったらレベル3
で済んだはず.と言ったら,BWRのプロに「スリー
マイル島の事故のように,PWR は1次冷却水を制御
しにくい炉であり,軽々しく妄想を言うな」と怒
鳴られた.
しかし,スリーマイル島の事故は,1次冷却水の加
圧器の先のSRVが開いたまま固着して,1次冷却水が
流出するLOCAが生じて,結果的に燃料棒露出事故
となった.
SBOが起きたが,LOCAは起きないという仮説の下で,
筆者はPWRのほうが安全,と言ったのに怒鳴られて
しまった.
・「PWR はより安全である」ことに賛成すると,PWR
とBWRを全国にバランスよく配するという,国の長
年の原発推進政策の失敗を非難することになる.
原子力ムラでは禁句であるらしい.
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PWRとBWRの比較なわけですが、格納容器がデカいPWRの
ほうが、安全度が高い(だろ)という結論です。
こればかりは、実際に比較になるような事故が起こっ
てみないとわかりません。
まぁ素人的には、BWRは制御棒をお釜(圧力容器)の下
から出し入れする(お釜の上から蒸気を出すんで)か
ら、お釜の下にたくさん「穴」が開いています。
でも、PWRの制御棒は上にあるんで、お釜の下に穴は
ありません。
ここらだけでも、イザの時の余裕度を感じるんです。
福島の事故後に書かれたPWRメーカー:三菱重工のレビュー。
・https://www.mhi.co.jp/technology/review/pdf/501/501008.pdf
「PWRの安全設備と福島事象への対応」という座談会の報告書
・http://www.engy-sqr.com/lecture/document/zadankai111117.pdf
※検索
・pwrのほうが安全か
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2016年5月25日 13時06分
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