「音の歴史」
本はやはり手に持って中を見てから選ぶというのが基本です。
タイトルや表紙だけではどんなものかわかりません。
先日も東成図書館で借りて「これ面白かった」と読み終わったのが「音の歴史:早坂寿雄」。
のっぺりとしたた表紙で、表紙の絵柄にインパクトはありません。
しかし問題は中身。
「音ってなに?」を電気的・機械的な面を中心にあれこれ解説されています。
電話システムが発明された当初の受話器や送話器の仕組み。
いかにして信号レベルを上げるか、その理論的な取り組み。
音響特性をどうやって測定するのか、まともな電子回路が
使えない時代になんとかして測定しようとする科学者・
技術者の苦悩。
マイクやスピーカーなどの音響基本部品が作られた昔の様子が
写真や図でうまく解説されています。
で、興味深い話が載っていました。
テープレコーダの録音、音声信号に交流バイアスを重複させて
録音ヘッドを駆動しているでしょう。
この発明、回路の異常発振がきっかけだったそうなのです。
1939年ドイツでのこと。
録音機の実験をしていたエンジニアが、あるとき突然、再生できる周波数
帯域が著しく広がる現象に遭遇。
原因を追及すると、回路の異常発振だったのです。
それまでは直流バイアスが使われていて、偶然の発振によって、
交流バイアス録音になったというわけです。
そして驚くことにこの発明(発見)、1938年に日本の東北帝大
でも同じように異常発振を発端にして見つけられていて、特許を
取得したそうです。
また、アメリカでも別の実験中に生じた回路の異常発振で、テープ
レコーダの交流バイアス法が見つけられていたと記されています。
テープレコーダ黎明期に関する歴史、面白そうです。
もうちょっと調べてみなくてはなりませんね。
※参考↓
http://www.netlaputa.ne.jp/~cadeau/audio86.htm
http://www.dia.janis.or.jp/~nasimoto/musen/tape.htm
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2006年7月27日 16時07分
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色も,はたして自分が観ている色と,隣の人が見ている色が一緒だとはどうやって証明できるのだろう,それ以上に音だって分からないし,人の好みというものも加わるだろう,これらを定量化し客観的な数字に置き換えた人は偉いなぁと思います。
元音屋・・・・としては色も大変ですが、音もまた大変です。
色の場合、対象が目の前に長時間存在しています。
音の場合、時間とともに失われてしまいます。
では消える音の方が難しいかというと個人個人が持っている人体フィルターによって意外といい加減に聞いています。
波形がまったく違うのにほとんど同じ音に聞こえる場合もあります。
色や音は数値で測定できるようになっていますが、同じものを作り出すのは結構大変です。
どちらが難しいかは私には判断できません。