『イケズの構造』
笑わせてもらいました。
入江敦彦さんの「イケズの構造」(新潮社)。
イラストはひさうちみちおさん。
東成図書館で見つけました。2005年2月発行の本です。
図書分類「361.6」。
ということは「社会福祉・国家機関による社会福祉」てなところに置かれています。
表紙イラストの台詞:
「どうぞ、お座布あてとくれやす」
「へえ、おおきに」
「いやあホンマ座りやすそうなお座布どすなあ」
内容は・・・京都人の「イケズ」って何?をことこまかく解説しています。
・イケズは陰険ではない。
・イケズは意地悪でもない。
・イケズは皮肉とも違う。
・イケズはイヤミでもない。
・イケズとイジメは正反対の態度。
京都の恐怖伝説『まぁ、ぶぶづけでもあがっておいきやす』。
こう言われて甘えても、いつまでたってもお茶漬けが出てこない・・・
京都におけるイケズの典型例として紹介されている物語。
(この話、元は落語だそうです)
嫌われるのは「イケズいい」やのうて「イランコトいいのお調子者」。
大阪だと「ぼけ」たら「つっこむ」。
相手が「ぼけ」たらこちらも「ぼけ」る。
ところが京都だとイケズの応酬。
イケズが京都人のコミュニケーション。
適切なイケズのいいかたを覚えるのが京都人の必須科目。
という本なのです。
笑える具体例がいっぱい詰まっています。
秀吉と千利休との確執も、利休がとことんイケズやったからという
お話が披露されています。 命をかけたイケズですな。
大阪人には真似できません。
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こんな例が書いてあります。
初対面に近い京都人からコーヒーを勧められたとき・・・
(A)コーヒー飲まはりますか?
(B)そないせかんでもコーヒーなど一杯あがっておいきやす。
(C)のど渇きましたなあ。コーヒーでもどないどす。
(D)コーヒーでよろしか
A:ただのあいさつ。
「へえ、おおきに」とかわして、頃合いをみて立ち去るべし。
コーヒーは出てこない。
B:これも挨拶の一種だが、「いやあうれしいわ。そやけど結構ですわ」と
返事したら、相手から「コーヒーお嫌いやったら紅茶にしましょか」
などと執拗に迫られる可能性が大。
コーヒーは出てこない。
C:これが怖い。「すぐ帰れ」ということ。
「のど渇きましたなあ」が自分の「疲れ」を表している。
「コーヒーでも」の「でも」が「なんでもいっしょや」
「ちゃっちゃと済ませろ」ということ。
「こんど時間のあるときにまた呼ばれまっさ」と返事して
帰るのが正解。
当然コーヒーは出てこない。
D:コーヒーが出てくる可能性があるのがこれ。
大阪人には理解不能です。
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2006年11月8日 13時50分
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この手のお話が都市伝説のように流布してネタにされていて、
美味しい漬物を手に入れたときにでも、素直にお客さんに
お茶漬けを奨めることができなくて困ったりします。
とはいえ、イケズ文化が知らず知らずのうちに身体に染み付いて
いるんでしょうなあ。コワイ。
でも、「イケズ文化」そのものは存在するのでしょうね。
「イケズいい」が、「ボケ」てる感じなのでしょうか。
よそのものにはそれがわからない。
少々エクスクルーシブ的な事もあって、大阪人だと判ると距離を
置こうとする傾向もあるようですね。
例えば・・
商売人同士の挨拶でも、大阪なら「まいど!」ですが京都ですと
「おおきに」ですわ。顔を合わせても電話でも「おおきに」です。
決して、「まいど!」とは言わんように?