「史上最悪のインフルエンザ・忘れられたパンデミック」
「史上最悪のインフルエンザ・忘れられたパンデミック」
アルフレッド・Wクロスビー著 西村秀一訳 みすず書房
20紀初頭、第一次世界大戦の最中に猛威をふるったインフルエンザ、
「スペイン風邪」(この本の中ではスパニッシュ・インフルエンザと
記されています)のお話しです。
・「パンデミックとは」
1918年〜1919年、このインフルエンザが全世界に広まりました。
直接の戦禍で死んだ人より、この病気で死んだ人のほうが多いのです。
まだ「ウイルス」とは何かが分かっていない時代です。
電子顕微鏡もありません。
記録がよく残っている米国を中心に話が進みますが、名前になっている
スペインが発祥ではないということです。
また、インフルエンザ=冬の病気と考えがちですが、スペイン風邪は
1918年の初夏から流行が始まっています。
当時の人と荷物の大量輸送交通手段は海運。
あちこちの港で防疫体制がとられますがことごとく失敗します。
それでもオーストラリアはかろうじて防疫に成功、しかしニュージーラン
ドは失敗。
すぐ近くの島なのに、統治が異なっていたため東サモアは防疫に成功するが
西サモアは失敗して多数の死者が出る。
人里離れたアラスカでも失敗、なんてことが書かれています。
また、インフルエンザの原因菌探求が、フレミングが青カビから発見した
ペニシリンにつながっているのです。
当時、インフルエンザの原因ではないかと考えられていた
「ファイファー桿菌」、これに関する培養実験をしていて
「プレートに紛れ込んだカビが菌を殺す」のを偶然見つけたのです。
実験の元はインフルエンザにつながる研究だったのです。
この本ではそんな話も紹介されています。
※人混みに出かけたら、すぐに風邪をもらってきてしまいます。
春先になってから2度ほど風邪ひきしました。
インフルエンザじゃありませんでしたけど。
強毒性インフルエンザ、この本を読んだらほんとに怖くなります。
SFじゃなく、90年前、実際にこの地球で起こった話なのですから。
この手の話、世界史(日本史)や保健では習っていませんよね。
記憶にあるのは「あった」ということぐらい。「名前は聞いたことあるか」くらい。
「地震」「津波」「パンデミック」、人が生きていくのはたいへんです。
「風水」では解決できません。「科学」のチカラなんですけどね〜。
国立感染症研究所のインフルエンザ・パンデミックに関するQ&Aが参考になるかしら。
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2007年4月13日 07時15分
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出張が多いので、最近は予防接種を受けるようにしていますが、どれほど効果があるのやら。とりあえず、高熱で倒れる頻度は減っています。
年齢的に、政策や作戦を決める重要な地位につく人が、インフルエンザを生き延びたかどうかによって、史実が変わっていた可能性があるわけです。
インフルエンザが歴史を変えたかもしれないと、記されていました。