「ケプラー疑惑」
訳者つながりで図書館から借りてきました。
3月はじめに読んだ本「火山に魅せられた男たち」の訳者、
山越幸江さんの本、『ケプラー疑惑』。
副題が「ティコ・ブラーエの死の謎と盗まれた観測記録」。
17世紀の天文学者ヨハネス・ケプラーとティコ・ブラーエ。
ティコはケプラーの先生。
ところが二人の仲が良くない。
ティコが急に体調を崩して死亡。
ケプラーがあやしい…。
このあたり、けっこう記録が残っているようなのです。
さて、ここからがすごい。20世紀の科学。
ティコさんの遺体を発掘して彼の毛髪成分を分析。
そしたらまぁ、やっぱり「毒殺」…という結果が。
当時の天体観測の方法(まだ望遠鏡はない)の記述など、なかなか
面白いです。
ケプラーさんは目が良くなくって(近眼?)、星が見えなかったそうです。
で、理論のほうに走る。
目がよいティコさんはひたすら観測精度を上げる。
ケプラーさんはその観測データ、とりわけ「火星」の動きが欲しかったらしいのです。
表紙に描かれている巨大象限儀、その角度目盛りの読みを助ける「ダイヤゴナル目盛り」
の解説なんかも出てきます。
当時はまだ「バーニヤ目盛」はなかったそうな。
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2009年3月25日 06時13分
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昭和30年前後の工業課程で,この手の電圧計や標準電池を使いました。ホイトストーン・ブリッジ,ダブルブリッジ,コーラッシュ・ブリッジ,それに,とても慎重に扱ったガルバノメータ,小さな鏡がついていてそれに光を当てて振れを拡大して読む検流計も実習で使いました。入社当時には,職場でも CRT のヒータの 冷間抵抗 を計るのによく使いました。
僅かでも電流を流さなければ抵抗値は計れない,相手はタングテン(W)だから,微電流でも刻々と抵抗値が増してくる・・で苦労しました。
その後デジタルマルチメータの出現で,測定が正確かつ超短時間でとなりましたが,その頃には,トランスレスの時代でなくなり,冷間抵抗なんて気にしなくてよいことに。後輩たちは,そんな先輩の苦労を知りません。
「ダイアゴナル目盛」も見ておいてください。
高校時代からケプラーのことは、近代科学の礎を担った学者として尊敬していました。最近、この本のことを知り、なんとも複雑な心境です。ケプラーは、本当に、恩師を毒殺してまでデータを手に入れようとしたんでしょうか・・?是非手に入れて読もう、という気分と読まずにおいておこう、という気分が錯綜し少々悩んでおります。
書かれている内容を信じるかどうかは別にして…
科学史、技術史って興味深いですよね。