スイッチに並列に入るコンデンサ
JH3KXMさんから「タクトスイッチの接触不良」原因について、
ご意見を頂戴しました。
「回路にコンデンサが入っていて、電流制限抵抗のないまま
スイッチしているんじゃないか」という推測です。
※ブログ記事:スイッチに並列コンデンサはダメ回路 - ikkei blog
このスイッチ、ガレージの現用PCの電源オン・オフに使われてい
ました。
自作回路じゃないので、残念ながらコンデンサが回路に入って
いるかどうかは不明です。
このPCのパネル、電源スイッチの横にリセットスイッチが並んで
いるのです。
そこで、リセットスイッチ(滅多に使わない)と電源スイッチを
入れ替えてやろうというのが当初の故障対策プランでした。
同形状のスイッチですんで、ハンダ付けを外して入れ替えで済む
はずでした。
ところが、操作なんてしないリセットスイッチのほうも接触不良
が起こっていたのです。
こりゃ、スイッチそのもの問題。
PCを運転し始めてから3年半目のトラブルだったわけです。
手持ち品のスイッチに交換後は現在まで安定して動いています。
さてさて。
スイッチでコンデンサが入った回路を開閉した時、どんな具合に
なるか、ざっと推測してみましょう。
図の左側が問題の回路。
C1を直接短絡すると、過大電流がスイッチに流れるというものです。
安定稼働のためには右図のように放電電流規制抵抗R2を入れておく
べきだと。
考慮すべき点は、コンデンサの容量、Vcc電源電圧。
それにスイッチの接触抵抗に、配線の抵抗分。
さらにコンデンサの等価直列抵抗や配線のインダクタンスも絡んで
きます。
★複雑に考えるとややこしいので、簡単に
C1はその容量にかかわらず電源電圧まで充電されます。
スイッチで短絡したら、一瞬、大電流が流れます。
電源電圧が5Vでスイッチ回りの抵抗が仮に「1Ω」とすると
瞬間的に「5A」。
抵抗が小さくなればどんどん電流は大きくなります。
ただ、時間経過とともに電荷が減って電圧が減少するんで、
大電流が流れるのは最初の一瞬だけ。
時定数 「t=CR」 経過すると、およそ7割減の値に。
コンデンサを1uF、抵抗を1Ωとすると時定数は「1マイクロ秒」
これをちょっと違う式から見てみましょう。
関係する式
Q=CV コンデンサに蓄えられる電荷
W=(1/2)Q・V コンデンサに蓄えられるエネルギー
つまり
W=(1/2)・C・V・V 単位は「J」
電圧の2乗に比例してエネルギーが大きくなります。
で、なぜ「1/2」が頭に付くのかは積分の絡み。
「電荷のエネルギー」などと検索すると出てきます。
「1アマ」無線工学の問題かな。
で、数値を入れてみると、
Vcc=5V C=1uF
とすると、答えが「12.5マイクロ・ジュール」。
電力量で考えると1秒間で12.5マイクロ・ワット。
時間を短くして、
1ミリ秒なら、 12.5ミリワット。
1マイクロ秒なら、12.5ワット。
放電時間を1マイクロ秒とするのなら、12.5Wという電力
がその時間に消費されます。
そして、
I=√(W÷R) (電力と抵抗から電流を計算する)
1Ωの放電抵抗なら約「3.5A」となります。
0.1Ωなら35A。
10mΩだと350A。 ←ほんとに流れるかどうかは別で
先ほどのは瞬時電流としての「5A」という数値は時間経過
とともに電流が減少。
そして電力から計算したのが「3.5A」。
こちらも時間とともに電流が減少しますが、元の数値が
ピークじゃなく1u秒で計算したからちょいと小さくなっ
てます。
コンデンサが小さくなっても瞬時電流の考え方では電流
は減りません。 (放電時間は短くなるけど)
電力量による計算だと電流は減りますが、放電時間をどう
考えるかで電流値が変わります。
例とした「1u秒」だと周波数で「1MHz」。
回路の抵抗だけでなくインダクタンス成分を考えると、
いかがでしょうね。
電流を推定する上で、どのくらいで手を打つか…
コンデンサの値を1/10にして0.1uFなら、まだちょいと
電流値が気になるレベル。
でも1/1000にして1000PFまで小さくすると、そろそろ
電流制限抵抗を省けるんじゃないか、そんな気がします。
抵抗の代わりにフェライトビーズかな。
★居酒屋ガレージまとめ:タクトスイッチの接触不良
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2012年8月14日 20時25分
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コンデンサが102程度なら、この回路もアリかなと。
ただし、この102が何に効果が有るのか分かりませんが。
PCのリセットスイッチも接触不良ですか、そりゃ接点が錆び付いちゃったかな?
タクトスイッチの接触不良と聞いて、てっきり私の経験したことと同じかと思いました。
私のブログの根拠は、実際の話です。
私が転職した会社が、数年前に販売したもので、不具合報告リストが回ってきたときに、
同じ機種で10数件同じ症状の故障報告が有ったのです。
それが、全てSW2,SW3の交換というものでした。
解析結果として、スイッチの経年劣化となっていましたが、
それなら、なぜSW1の交換が皆無なのか?
そこで、回路図を見て上記のことだと判明したのです。
SW1〜SW3にはすべて10Kのプルアップ抵抗と0.1μFが付いていました。
ただ、SW1だけに直列に100Ωが付いていたのです。
聞いてみると、その製品は始めはスイッチが1つしか無かったのですが、
数年後には機能がアップしてスイッチが2個追加されたそうです。
おそらく、そのときに直列抵抗の意味を理解せず、省いてしまったのではないかと。
この場合、試作レベルでは発覚しないので、タチが悪いですね。
この様な例は、結構世の中に蔓延しているのではないかと危惧します。
自分自身が電波を出す無線機の制御回路。
そして、外部から電波を受けても誤作動しないかどうかの
テスト、イミュニティ試験(電磁的な妨害に対する耐力チェック)で、
ちょいと対策に使うコンデンサが102とか471。
妨害を受けた回路にちょいとつないでやると「試験にクリア」
てなことが…
ビーズやコモンモードフィルタでは落としきれない外乱信号、
これに効くのですよ。
ただし… 周辺回路の状況を良く判断してっというのが
不可欠です。
パワー回路は恐いです。
ノイズ対策だと思ってしたことが、とんでもない結果を引き
起こします。
強電の世界ではわざわざ接点にアークを引かせるものもあります
直流220Vを使っているクレーンなどはあえてアークを引かせて接点を清浄化(酸化銀の還元、ガム状物質の除去)させています
粉塵の多い現場では接触不良が多いので有効です
交流の回路では使いませんが。。
逆に微小電圧ではツイン接点化、無接点化、ガス封入接点への置き換えはよくやります。
たかが接点されど接点、使用箇所で色々な使い方、問題点があるなーと感心しました
103を接点に並列に接続しています。しかし、放電電流の制限はしていません。
Cを用いずに、マイコンのソフトでチャタリングを除去していたことも有りました。
しかし、経時的に接触不良が発生することがあり、上記のようにCを追加しました。
私どもの開発製品では、その使用目的から、スイッチの開閉頻度は少なく、試運転・調整の時に操作しますが、一旦設定すると、その後は殆ど操作しないことが多いです。
ariiさんが言われるように、時々接点に比較的大きな電流を短時間流して、接点の浄化をする必要があるように思います。
接点の許容電流、浄化作用の効果、開閉信号の鈍り具合からみて、上記の組合わせが良いのかなと思っています。
話は変わりますが、接点式のロータリーエンコーダーでも、103と10kの組合わせで比較的良好に動作しています。(私のホームページに掲載しています)
★プロセッサ・1990年3月号
この記事の7、8ページ(本のページで)をご覧下さい。
保護抵抗をむやみに大きくしたときのトラブル体験です。
チャタリング除去をCR回路で行う場合、接点の性能と応答速度、それと信号を受けるICの入力特性を考えなければなりません。
シュミット入力じゃないところになまった波形を入れると…悲惨
ICが増えていいのなら、7414(TTLでもC-MOSでも)や4584のシュミット入力ゲートICを使い、そこで信号入力とチャタリング除去をしてしまうというのも手です。