高速2相パルス発生回路解説
高速2相パルス発生回路の動作解説をば。
●製作にあたっての要求仕様
・スイッチを押すたびに設定した数の2相パルスを出力。
・発生パルス数の設定はデジタルスイッチで変えられるように。
・パルス数の最大は16ビット値(65535)を越えるように。
・パルスのクロック周波数は任意可変できるようにする。
・安定したクロック源(水晶発振)と切り替えできるように。
・出力はTTLレベル。
・正転、逆転は外部でA/B相を逆接して対処。
・とりあえず実験に使うだけだから箱に入れなくてよい。
・電源は外付けでよい。
●旧ツール
74LS168(BCDシンクロナスU/Dカウンタ)を使った
同等のものをこしらえてあった。
・回路図 (クリックで拡大↓)
カウンタは4個だがBCDなので最大パルス数は「9999」。
もう1個ICがあれば桁を増やせるのだが、手元にこのICは
4個だけ。
そして… 今はもう入手できない
で、カウンタを74LS161(シンクロナス・バイナリ・カウンタ)
にして16進5桁のものを製作した。
●74LS168はダウンカウントで計数
74LS168を使ったパルス発生器はダウンカウントで計数し、
3,2,1,0とゼロになったタイミングで出るキャリー(ボロー)
信号でカウント指令フリップ・フロップをリセットして
計数を停止。
カウンタのプリセット・データはBCDコードで設定。
0なら4ビットともLに。
9なら「1001」という設定にしなければならない。
通常のデジタル・スイッチは、0で4つの接点がオフになる。
(リアルコード仕様)
LS-TTLの入力はプルアップして使うので、リアルコードだと
全オフで「1111」になってしまう。
0を「0000」とするためには「コンプリメンタリ・コード」の
スイッチを使う必要がある。
※コンプリメンタリ・コード:0で全オン。
※C-MOS入力ならプルダウンという方法が使えるので
リアルコード・DSWを使うことができる。
●動作タイミング
・「START」スイッチのチャタリングをC1で取り除いたあと、
シュミット入力のインバータを通す。(A)
・スイッチのオン・エッジで「U4A」FFのQ出力がHに。(B)
・クロックで同期して「U4B」FFのQ出力がHに。(C)
・カウンタのLOAD信号(G)がHになり、カウンタが計数開始。
(G)がLの間はデジタルスイッチの設定値がロードされている。
・設定したパルスを数え終わる、最上位桁のカウンタから
キャリーパルス(E)が出る。
・(E)と(C)を負論理のORで、(G)がLレベルになりカウンタを停止。
・クロック同期した(F)でFF・U4AとU4Bをリセットして、待機
状態に戻す。
・FF・U3AとU3Bで2相パルスを生成。
逆位相のクロックでトグルさせる。
●74LS161を使った回路ではアップカウントで
バイナリ・カウンタでアップカウントするので「0」を
検出して停止する方法は使えない。
最終段のカウンタからキャリーが出るのは全桁が「F」に
なったとき。
設定方法を16ビット値で説明すると…
16bit 欲しい
max値 パルス
65535 - 10000 = 55535 = D8EF 16進)
D 8 E F (16進)
1101 1000 1110 1111
↓ ビット反転
0010 0111 0001 0000
2 7 1 0 = 10000 (10進)
つまり、パルス数は1の補数で設定すればよい。
16進のリアル・コードDSWで、欲しいパルス数を16進で設定
することで、アップカウントしてのキャリー出力までの数が
設定される。
「00002」とすれば、カウンタのロード値は「FFFFD」となる
ので、最終桁がD、E、Fと進み、Fでキャリーが出て停止する。
クロックを逆相でゲートすれば所定のパルス数が得られる。
●いろんなカウンタIC
・BCD(10進)カウンタ(非同期)
90 昔からある。電源ピン位置が特殊。
290 90の電源ピンを14・7ピンに移したもの。
390 1パッケージに2コ入っている。1/100できる。
・BCD(10進)カウンタ(同期)
160 UPカウント。 非同期クリア。 同期ロード。
162 UPカウント。 同期クリア。 同期ロード。
168 U/Dカウント。 同期ロード。
190 U/Dカウント。非同期ロード。
192 U/Dカウント。クロック独立。
非同期クリア。非同期ロード。
・バイナリカウンタ(非同期)
93 昔からある。電源ピン位置が特殊。
293 93の電源ピンを14・7ピンに移したもの。
393 1パッケージに2コ入っている。
4020 14ステージ。 1/16384
4024 7ステージ。 1/128
4040 12ステージ。 1/4096
4060 14ステージ。 1/16384 発振回路入り。
・バイナリカウンタ(同期)
161 UPカウント。 非同期クリア。 同期ロード。
163 UPカウント。 同期クリア。 同期ロード。
169 U/Dカウント。 同期ロード。
191 U/Dカウント。非同期ロード。
193 U/Dカウント。クロック独立。
非同期クリア。非同期ロード。
590 8bit。 出力レジスタ付き。
非同期クリア。 非同期ロード。
592 8bit。 入力レジスタ付き。
非同期クリア。 非同期ロード。
593 8bit。 入出力レジスタ付き。
非同期クリア。非同期ロード。
この中で、168や169、593がアウト。 TTLもC-MOSも入手不可。
190がプレミヤ付いている?
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2014年7月3日 16時57分
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4029Bもあったなあと思ったら(CMOSだけど)
こいつもディスコンみたいでした(^^;
昔々、「エレクトロニクスライフ」に投稿した「簡易型停電試験装置」で
このICを使ってました。
100V電源のパルスを数えて停電タイミングを作ります。
電源波形の「1山抜け〜999山抜け」を試験できます。
回路図を発掘してみます。
これは、現用の実験用治具です。