パワートランジスタ:2SC1080
『運動会で使っているアンプが鳴らなくなった』という修理依頼。
出力60W定格で、マイク入力が3つにAUX入力が1つという
ミキシング・アンプです。
東芝製で型番が「VA-606T」。
↑
調べても出てきません
製造年は不明ですが購入が「昭和54年」と記されています。
1979年から使われているわけです。
(仕事場のアクト電子、有限会社にする前の創業年です)
常用しているわけではないので、比較的きれいな状態です。
さっそくケースを開けて不良部分の探索を開始。
(ヒートシンクが斜めなのは固定ネジを外して
調べていたから)
電源はトランスを使った普通の整流平滑回路。
(右のが電源トランス)
出力段はトランスを使ったプッシュプル。
トランペット・スピーカー駆動のため、長距離延長用に
高インピーダンス出力回路になっています。
そのため、最初から出力トランスが組み込まれています。
(左のが出力トランス)
手作り感いっぱいの信号回路基板。
配線は、メンテナンスのことなんて考えていません。
電線のハンダ付けを外さないと、基板がひっくり返せ
ないのです。
悪かったのはパワートランジスタ。
プッシュプルの片方が短絡してました。
そのせいで、電源回路二次側に入ったNFBが落ちるのです。
それがこれ。 TO-3パッケージの2SC1080。
もう片方は生きていたんですが、プッシュプルですんで
両方を交換しなくちゃなりません。
問題はこのトランジスタの入手。
CQ出版の規格表を調べると、この2冊には出てました。
(これ以降の手持ちの規格表には出ていない)
1985年ので、すでに廃番の★マーク付。
う〜む。
TO-3パッケージの石そのものが少ない昨今、ネットで
探しても代品で使えそうないいのがありません。
そこで「困ったときのジャンクボックス」。
トランジスタを入れた箱をひっかきまわすと、使えそうな
のが出てきました。
2SD469というNEC製の石。
4つありました。
2SC1080と似たスペックです。
だめもとで、これと交換。
無信号時のコレクタ電流を測って、バイアス電流を確認。
大丈夫そう。
出力インピーダンスが高いので、手持ちの普通のスピーカーは
つなげません。
そこで、パワー抵抗を何本か直列にしてつないで負荷に
して試運転。
(その抵抗列の中に8Ωスピーカを紛れ込ませてモニター)
なんとか、修理が完了です。
60W出力にしてはヒートシンクが小さいようです。
大出力で連続運転するとだいぶと発熱します。
「必ず日陰に置いて扇風機で風を送って冷やして」
それと、
「いつアウトになるかわからんので新機材導入の予算を」っと、
伝えておきました。
※追記
52年前のアンプも復活!“末永く使う”視点で探るオーディオの魅力。ラックスマン修理現場に潜入 - AV Watch …興味深いお話
★さまざまな電子機器の修理依頼について:(有)アクト電子
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2015年10月22日 08時53分
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